「ジュリアン役の子役がすごい。」ジュリアン レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ジュリアン役の子役がすごい。
ジュリアン役のトーマス君、嫌いなお父さんの車に乗ってる時の表情が秀逸。とても演技に見えない。本当に嫌がってるように見える。演じるにあたって、「シャイニング」のシェリー・デュバルみたいに監督に何十テイクもやらされて嫌がらせ受けてたりして。
私は親に恵まれたせいか、ジュリアンのような嫌な思いをしたことはないが、彼の表情を見ていてまるで自分が本当に嫌なお父さんと同乗してるような気分になった。この子役を起用しただけで100点満点でしょう。
そしてお父さんを演じたドゥニ・メノーシェ。一度見たら忘れられない灰汁の強いアクター。「理想郷」では善良な人間を演じたてけど、今回のようなDV野郎がほんとにはまり役だった。どう見ても見た目がやばそうだもんね。ただ、いくらなんでもあそこまでするとは思わなかったな。ラストは全然想像してなかったので結構衝撃的だった。
自分の気持ちばっかりで相手の気持ちを考えようとしない人間いるよなあ。子供や妻から嫌われてるのはなんでなのか、自分のどこに問題があるのか、じゃないんだよね、こういう人は。自分を嫌う向こうが悪いになってしまう。自分の感情に手いっぱいで相手を思いやる余裕もない。
私だって確かに若い時はこんな時期もあった、二十代前半なんか特に。元嫁の新居に一方的に押しかけて、自分は変わったんだといって感極まって泣き出すとこなんか、ほんと若い時の自分見てるみたいでほんと無様だよなあ。さすがにこの年なってやってちゃあいかんでしょう。結局人間的に成長できずに年だけ食ってしまったみたいな。まあ、車の中で子供を脅した時点でアウトだったけどね。
離婚後の単独親権は先進国では珍しい方で日本も家父長制の名残でそうなってたのが、今回共同親権の法改正が審議されている。確かに離婚後も良好な関係が維持できるんなら共同親権はアリだけど、本作のようなDV夫から逃げてる人にしたら今回の改正案は恐怖でしかない。当然面会交流権も拒否しづらくなるし、非監護者も親権を有するわけだから自分たちの居場所とかを知らせておかなければならない。危険な人間から逃げるすべがなくなる不安が大きいようだ。あと、親権者の同意が必要な医療処置なんかも受けにくくなるだろうし。
法改正するのはいいけど、そういった共同親権のリスクも考えての法適用ができるように審議を尽くしてもらいたいもんだ。すべては子供の利益のために。
単独親権、共同親権、両方それぞれに問題ありますね。両親の関係が良くてDV全くなくて両者ともオープンな人であれば共同親権の方がいいと思うけれどだったら離婚しないかなあ。単独親権に守られる親と子どももいるのだろうし。