天国でまた会おうのレビュー・感想・評価
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身体の一部を失うと人は何かで埋めようとする。
親子の愛や友との友愛は何かを失った時にその価値が理解できるものなのだ。
奪う者には決してわからない。
この映画の素晴らしのはそんなことでもない。
丹念に映像を積み上げていく中で音楽を重ねていったことだ。物語はいままで腐るほどに語られてきたことだからね。
馬
原作未読
1918年、第一次大戦から帰還した二人の兵士の詐欺と元上官の成り上がりの話。
停戦間際、疑惑の偵察指示を出す上官の行動が切っ掛けで戦闘が勃発。
死にかけた主人公とそれを助けて被弾し助け返され死んだことになった男が記念碑作製ビジネスで詐欺を企てる。
参戦前からその時に繋がるそれぞれの仕事や家族の因縁をみせていく展開でつまらなくはないのだけれどちょっと透かした感じが自分には合わず。
陰鬱なのか、哀しいのか、痛快なのか…上っ面をなぞっているだけに感じてしまった。
フランス映画ならではの素敵な作品
切なくも、優しさやウィットに富んだ作品だ。
戦争や戦後の混乱の中で語られるちょっとしたサスペンス仕立てのストーリーで、絶望や友情、怒りやユーモア、家族を含めた人々の愛情が所狭しと描かれる。
アルベールの視点で語られるが、特定の人物だけに観る側の心情が偏らず、それぞれの心の動きを観察しながら、映画全体を通して、戦争の悲しさや、人の優しさが映し出される。
映画を観終わっ後、父親の後悔と愛情や、エドゥアールはなぜ?とか、アルベールに幸せを祈る気持ちとか、余韻も楽しめる素敵な作品だと思う。
【美しくも恐ろしい仮面の奥に秘められた想い】
第一次世界大戦中、上官の卑劣な行為により死にかけた男と助けようとして深い傷を負った若き男の戦犯側に対するエスプリを効かせた復讐譚。
若き男が被る様々な仮面の凄まじい美しさ(と恐ろしさ)。そして、その瞳の哀し気な輝きに魅入られる。
劇中出てくる「戦争を始めた罪、戦争を止めなかった罪、戦争を愛した罪、戦争を利用した罪」という言葉の重さ。
どこか、ジャン=ピエール・ジュネを想起させる美術、画が印象的な強烈なフランス発反戦映画である。
これぞフランスの悲劇。
ずっと観たかった映画の一つ。
ようやく観れて大満足です。
この映画は、フランスの第一次大戦で負傷した兵士の物語。
戦争で生き残った彼が、戦後どんな人生を歩むのか?
家族への嫌悪、友達への熱い友情などなど、見所満載!
でもでもやっぱり、この映画はラストがかなり印象的でした。
彼の衝撃の行動は、小説を読んだ時からも驚いていましたが、映像化してもやっぱりびっくりでした!
でも、彼はなぜ…?
原作でも謎だった部分だけに、その謎が解消されるのではないかと期待していたのですが…。
やはり、その謎は解消されることなく。
私の頭はモヤモヤした気持ちでいっぱい。
しばらくあのラストに頭を悩まれることになりそう。
まあ、謎の部分は仕方ないとしてこの映画の構成や映像はとにかく美しかった!
まず、血みどろの戦いに苦しむ青年たちの苦悩とと相対して、主人公のエドゥアールが作り出す芸術品との対比が美しい!
彼が作り出す仮面の色鮮やかさに、魅了されまくりでした。
やはり、いくら美しい仮面といえど、文章だけではその美しさは伝わらないもの…。
映像化してこそ、その美しさがより際立って映りました。
また、まるで絵本を見ているかのような可愛らしい雰囲気と相反して、ドロドロとした血みどろの不気味な世界。
その真逆な世界観が、ミスマッチしているのが面白かったです。
原作者のピエールルメートルさんは大好きなミステリー作家の1人。
彼の描くミステリーがここまで、面白く映像化されているとは思いませんでした。
『この女アレックス』と同様に、緻密に計算されたクオリティの高い構成。
一人一人のキャラが立っているから、より物語を面白おかしく見ることができました。
原作と違う部分が多々ありますが、やはりそこは映像化するに当たり、盛り上がるような展開にしたのだと思っています。
ただ、あのラストの展開が、もう少し理解できればよかった…。
やはりここは想像力を豊かにするしかないのでしょうか?
答えの見えない最後も時には面白いかもしれませんが…。
誰か解説してほしいです。
海外ミステリーが大好きな人、絵本ぽい世界観が好きな人、フランス映画の皮肉な笑いが好きな人にオススメ(笑)
ミステリーを楽しみつつ、人間同士の卑屈な世界を堪能してみてください。
名もなき被害者たちの悲しさが胸に迫る
第一次世界大戦の終了間際に、顔に重傷を負ってしまった青年が、戦後、パリで企てた前代未聞の詐欺についての物語
主人公の青年エドゥアールは、戦争で顔に重傷を負ってしまったため、そのほとんどが仮面を被った姿で登場する
そんなエドゥアールは、戦争で命を落とした「名前のない犠牲者たち」を象徴している
そこでエドゥアールは「戦没者を慰霊すること」を装った詐欺をするのだが、その行為そのものが、犠牲者たちの思いを代弁している
日頃、戦争にも、犠牲者にも無関心なくせに「犠牲者を悼むため」というと、溢れるほどに金が集まるのだが、それは、金持ちの偽善と見栄でしかない
そして、本来なら、戦争を計画した者や、ゴーサインを出した者が罰せられるべきなのに、彼らはケガをするどころか、誰よりも贅沢な暮らしをして生きている
この映画は、そんな戦争の欺瞞や理不尽への皮肉であふれている
戦争で体の一部を失われた人間が苦しい生活を強いられ、逆に酷いことをした人間が贅沢な暮らしをしているのはなぜなのか
そして、この映画の素晴らしいところは、そんな眉間にしわを寄せたくなるような話を、とても美しく華麗に、観客に苦痛を与えず、寓話的に描いているところにある
表面的な美しさの裏側には、苦しみが内包され、悪事を行なった人間には、やがて天罰がくだる
戦争とは、人を殺す以外に何の目的があるのか
美しい映像と共に、その理不尽さについて、考えさせられた作品だった
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