「戦後モラトリアムを寓話仕立てで」天国でまた会おう N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
戦後モラトリアムを寓話仕立てで
もっとハスに構えた物語かと思うも、ド直球だった。
親子の確執が物語の芯にあるものの、
ホームズに対するワトソンのような狂言回しの回想視点で物語が進むため、
芯の物語こそおとぎ話のようで、その不思議な雰囲気に惹かれる。
他にも幾つかのスジが同時に進行し、全てが巧みと絡まりひとつ作品と仕上がっている脚本がうまい。が、詐欺を働き始めたあたりからラストが読めてくる展開である所だけが、おしい。
ただ、自身を認めさせる、復讐を果たしたことで悔いはなし、
と主人公が思いつめているという事なのだとすれば、
主人公の全存在をかけても余りある絶望感が「戦争体験」となり、
もしかすると本作全体が暗にいわんとしていることは、
「父性=戦争」が貶める「若者」
その罪について、ということなのではなかろうか、とかなんとか。
まあ考え過ぎ、だろうな。
悪役の上官がまったくもってずるく愚かで憎たらしい限りで、パンチが効いていたなぁ。
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