「悲しく、美しく、痛快でもある物語」天国でまた会おう andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しく、美しく、痛快でもある物語
原作はピエール・ルメートルの小説で、彼は脚本にも参加している。未読ではあるが、ピエール・ルメートルのミステリらしさを押し出しつつも、戦争というものに人生を狂わされた者たちの悲しみと復讐が非常に魅力的に描かれている。
序盤の戦闘のシーンの息詰まる恐ろしさ。「死を好む」男に人生を狂わされる兵士たち。中盤に出てくるがまさに「戦争を愛した罪」である。
物語はやや人間関係が複雑(ミステリあるある)だが、表情豊かな仮面の数々と少女ルイーズの存在で、そこはかとなく楽しい。
語れないエドゥアール(ルイーズが代弁してくれるが)を演じるナウエル・ ペレーズ・ピスカヤートの演技がよい。顔の下半分を失ってほぼ仮面で台詞もほとんど発することができない状況で、目と動きだけで感情を表してみせる。彼がついに父親と対面するシーンの目...。
そしてややご都合主義ではないかと思える結末も、この物語には相応しいと思える。
ミステリらしく色々なところに伏線が仕掛けてあるのも楽しめた。
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