「これぞフランスの悲劇。」天国でまた会おう ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞフランスの悲劇。
ずっと観たかった映画の一つ。
ようやく観れて大満足です。
この映画は、フランスの第一次大戦で負傷した兵士の物語。
戦争で生き残った彼が、戦後どんな人生を歩むのか?
家族への嫌悪、友達への熱い友情などなど、見所満載!
でもでもやっぱり、この映画はラストがかなり印象的でした。
彼の衝撃の行動は、小説を読んだ時からも驚いていましたが、映像化してもやっぱりびっくりでした!
でも、彼はなぜ…?
原作でも謎だった部分だけに、その謎が解消されるのではないかと期待していたのですが…。
やはり、その謎は解消されることなく。
私の頭はモヤモヤした気持ちでいっぱい。
しばらくあのラストに頭を悩まれることになりそう。
まあ、謎の部分は仕方ないとしてこの映画の構成や映像はとにかく美しかった!
まず、血みどろの戦いに苦しむ青年たちの苦悩とと相対して、主人公のエドゥアールが作り出す芸術品との対比が美しい!
彼が作り出す仮面の色鮮やかさに、魅了されまくりでした。
やはり、いくら美しい仮面といえど、文章だけではその美しさは伝わらないもの…。
映像化してこそ、その美しさがより際立って映りました。
また、まるで絵本を見ているかのような可愛らしい雰囲気と相反して、ドロドロとした血みどろの不気味な世界。
その真逆な世界観が、ミスマッチしているのが面白かったです。
原作者のピエールルメートルさんは大好きなミステリー作家の1人。
彼の描くミステリーがここまで、面白く映像化されているとは思いませんでした。
『この女アレックス』と同様に、緻密に計算されたクオリティの高い構成。
一人一人のキャラが立っているから、より物語を面白おかしく見ることができました。
原作と違う部分が多々ありますが、やはりそこは映像化するに当たり、盛り上がるような展開にしたのだと思っています。
ただ、あのラストの展開が、もう少し理解できればよかった…。
やはりここは想像力を豊かにするしかないのでしょうか?
答えの見えない最後も時には面白いかもしれませんが…。
誰か解説してほしいです。
海外ミステリーが大好きな人、絵本ぽい世界観が好きな人、フランス映画の皮肉な笑いが好きな人にオススメ(笑)
ミステリーを楽しみつつ、人間同士の卑屈な世界を堪能してみてください。