「作品としては成り立っていた。」ニセコイ 律さんの映画レビュー(感想・評価)
作品としては成り立っていた。
正直原作が様々な作品のウケた描写をこんもり盛り込んだ物かつ25巻の長作なので2時間ちょっとの映画に収められるのか?という不安はあったけれどニセコイの根幹は外すことなく2時間の物語として成立していたのがすごいと感じた。
たしかにニセコイの醍醐味とも言えるハーレム感は正直薄れてる。鶫はセリフなしでほぼクロードと行動して千棘を見守るだけの役だし万里花も正直いる必要性はあったのかな?って言う展開。正直この2キャラファンもそれなりにいるので、その2キャラ推してる人はニセコイ感は全く感じません。あと、舞子集がおふざけキャラとしてしか描かれてないのも原作を知っているとすごく物語として足りなく感じてしまうけれど、(叶わない片想いをしてるのとかも描かれていないので) むしろそこを描こうとすると映画ではまず無理だし、そう考えると小咲-楽-千棘に絞って描こうとなるのは無理もないな〜と。でもそれだけ関係性を削っていたのにもかかわらず、ニセコイらしさを上手く残していたと思います。あと、正直最後の展開は急だなと思ったけれど、飛行機を引き止めるのが原作で千棘のお母さんがきた時のオマージュなのかな?とか入っていない原作のいい演出をうまく取り込んでたり。キャストがかなり原作リスペクトしてたので、ニセコイ感が全く消えなかったのかもしれない。
何より小咲役の子がほんっとに思い描いていた小咲のそのままで素晴らしかった。主役の2人も凄いんだけど、本当に新人の子なのに、小咲がハマり過ぎていてあの子を見つけてきたキャスティング班を評価できるレベル。
ただ一つ苦言を呈するなら製作陣は福田雄一の影響をモロに受けすぎだと思います。あの作風がウケてるからあの編集なのでしょうが二番煎じ感はありました。人物の描き出し方が良かった分アレレ...とは感じました。でもキャラデザインを本気で寄せた部分と出ていたキャストさんの良さで4つにします。