「物語としては1つの解釈、UCシリーズが続いて素直に嬉しい」機動戦士ガンダムNT トライ&エラーさんの映画レビュー(感想・評価)
物語としては1つの解釈、UCシリーズが続いて素直に嬉しい
ファーストガンダムからUC(ユニバーサルセンチュリー)シリーズは全作品何度も見ていますが、さほどディープなファンではないと自覚しているレベルの視聴者の意見として受け止めて頂ければ幸いです。
物語的な演出については賛否両論分かれると思います。
ガンダムNTに関しては原作も読まず、プレーンな状態で観ましたが、90分という尺は物語のボリュームに対して圧倒的に足りていません。
様々な伏線の中で、別の時間軸がジェットコースターの様にグルグルとハイスピードで進むので、見る方によっては「何やねんこれ」「言いたい事が分からない」となってしまうと思います。
しかし、この作品の出来が良いところは、既存のファンに関してはUC(ユニバーサルセンチュリー)の延長線上にある1つの解釈論として、(賛否両論分かれるのは置いておいて)上手に解釈して物語を進めている点。
初めて観た方には、前の作品への興味を持たせる様な作りになっている点は上手だなと感じました。
個人的には、ファーストから続くテーマ「ニュータイプ」に対して、シャアもアムロもブライトも出演させずに徹底的に掘り下げた今作は非常に秀作だと思います。
ただ、ユニコーンの最終話と同様に、物語の最後を締めくくる演出が、あまりにもメカニカルな部分を超越しすぎて、我々の様な旧ファンにはオカルトっぽく見えてしまう部分もあり、一種の落胆を感じている方々もいるのではないかと思います。
ただ、ふと考えればガンダムは各作品に賛否両論がつきまとうコンテンツであり、逆襲のシャアの最後の演出ですら当時は否定的な意見があった事を考えれば、これはこれでアリだなと思います。
逆にそう言った意見が飛び交い合うことすら、40年前にガンダムを世に生み出した富野氏の目論見なのかもしれませんね。
今回の作品は富野作品ではありませんが、きちんとしたテーマを持って丁寧に作られてきた作品が、ビジネスとして成功していることに、「まだガンダムを楽しめる」という嬉しさを感じる作品でした。
ネタバレせずに感想を書くのは非常に難しいですが、賛否両論あるの理解した上でも、ガンダムらしいよく出来た非常に面白い作品であると思います。