若い女のレビュー・感想・評価
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このヒロインのことが徐々に好きになる不思議。
冒頭からこのぶっ飛んだヒロインの個性が思いっきり炸裂する。まるで爆弾のようで手がつけられない。寄ればこちらも怪我をしそうなほど。それが性格の問題なのか、デスパレートな状況の問題なのかはわからない。彼女に「もうちょっと器用に生きてみたら?」と助言してみたところで、何ら効果は得られないだろう。 けれど、彼女の良さを一つだけ挙げるとすれば、決して止まらないこと。絶えず動き続けること。それがたとえ恐ろしく下手な泳ぎ方で、見方によっては溺れているように見えたとしても、結果的に彼女の人生がちょっとずつ前に進んでいるらしいことは、差し込んでくる光や彼女の表情から自ずと伝わってくる。そして、なぜだろう。本当に不思議なのだが、この一連の描写を受けて自分もヒロインのことが大好きになり、彼女の人生を、一挙手一投足を、心から応援していることに気づかされるのだ。そんな狐につままれたような魅力に満ちた一作である。
この作品の主演女優はきっと化ける!
同棲していた売れっ子写真家にいきなり捨てられたポーラが、生活の糧を求めながら自立を模索する物語。久し振りにフランス映画らしい作品を観たように思います。彼と不自由の無い生活を満喫している間は自分の取り柄は美貌だけであったことに気付けていなかった主人公。独り身になって初めて世の中の厳しさを思い知るが、そんなどん底生活の中で初めて自分らしい生き方に気付く... 自由に生きたいのであれば生計の下支えや社会との折り合いがあってこそ、と言う当たり前の話なんですが、自由人を自ら任じるフランス人が演じるととんでもない大事のように見えてしまうのが、文化の違いなんでしょうけれど、凄く滑稽に思えます。ところでポーラを演じたレティシア・ドッシュはなかなかのもの。メイクの効果もあると思いますが、あどけない少女のような可憐さを見せていたかと思うと、正統派美人からあばずれ女まで何にでも豹変出来てしまうのはお見事。彼女の今後に期待。
孤独
パリの街では女も男も少女も成功者もそれぞれの孤独を抱えて生きています。ポーラも長年の恋人から振られたことで孤独になりました。ひとりになってから知る沢山の人間との出会いと関わり。不思議なことに沢山の人と関わりを持つ様になったポーラは、孤独から解放された様に見えてきます。 悪く言えば自己中で子供っぽい。だけど彼女の天真爛漫さは、人の心を解してみせます。子供っぽくても皆んなが幸せだったら、それでいいんじゃないかしら。
オシャレではない方の猥雑なパリ
唯一のウリである若さすら失いかけた女性が周囲を困惑させながらも自力で歩き出すまでの道のりを活写。内面の描写が上手い。 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と似ていて進歩も成長もゆっくりめだけど、人生に僅かに差し込む希望の光に反応して立ち上がる彼女の美しさよ。
レ・ミゼラブル
フランス映画はアメリカ映画と違って、神の概念があまり登場しない。願うことはあっても祈ることがないのだ。祈るというのは自分以外の何かの力に期待することである。アメリカでは神や天使に祈り、God bless you(神のご加護を)という。日本では神仏に祈り、初日の出に祈って御利益を期待する。 しかしフランス人が祈る姿はピンと来ないし、フランス映画でも祈るシーンの記憶がない。フランスは美を追求する国であるが、同時にリアリストの国でもある。 本作品の主人公は、所謂世間的な長所をほとんど持っていない。美人でもなく、何かの資格や才能がある訳でもない。その上、自分勝手でおしゃべり、自覚がないから反省もしないという、あまり付き合いたくない女性である。31歳は若いのか若くないのか微妙な年齢で、若い女(原題も同義)というタイトルは思わずニヤリとしたくなるようにアイロニカルだ。実にフランスらしい。 さてタイトルにも皮肉られる主人公だが、何があってもめげない底抜けに前向きの性格で、景気の悪いパリの街でなんとか生き延びていこうとする。自分に有利であれば口から出まかせも平気な彼女だが、嘘つきではない。 自分の現在を恥じることなく堂々としている姿は、見ているうちに次第にシンパシーを覚えてくる。世の価値観に惑わされず、悲惨な自分の状況を呪うこともない。金の前に屈することも、金のない人を蔑むこともない。あくまでニュートラルに、世間の尺度ではなく自分なりの判断で生きる。 経済的なことや仕事のことを考えれば、ミゼラブルな未来しか待っていないような彼女だが、女がひとりパリで生きていくということが不思議な共感を呼ぶ。主役のレティシア・ドッシュは初めて見る女優さんだが、なかなか見事な演技だったと思う。
空っぽの女
50代カメラマンの男と同棲していたがフラれて追い出された31歳の女性の話。 自己中、見栄っ張り、根拠の無い自信と虚言。 若いとはいえ31歳にしては何も持っていないし配慮も出来ないしガキな主人公。 その姿を延々と見せられるだけで昇りも墜ちもしない。 後半になって彼氏の姿がみえると、この男にしてこの女ありという感じがするけれど、これと言ってみどころらしいものはなかった。
若い?若くない?31歳は迷いの年
これは、私の共感がいっぱい詰まった映画だった 主人公のポーラは31歳 ある時、ポーラは10年間付き合った彼氏からパリの街へと追い出されてしまう。 彼と共にメキシコで暮らしていたポーラには、当てにする友人もなく、たまたま知り合った人の家を転々とし… だいたい28〜32歳ぐらいの時というのは「迷いの年」だと思う そろそろ結婚もしたいけど、仕事も面白くなってきたし とか 仕事に行き詰まりを感じるけど、結婚相手もいないし とか 私も、その年頃は悲しい別れがあったり、失業したりで スキルアップの勉強をしてみたり、趣味を増やしてみたりして、いろいろとチャレンジしていた年頃だった ポーラも、きっと10年間付き合った彼氏との結婚を意識していたはずだけれど、無残にも追い出されたことで、情緒不安定になってしまう そりゃー誰だって、そんな状況に置かれたら情緒不安定になるわー!! そこから、彼女は自分の生きる道を模索し始める 31歳にもなって、生きる道??自立??今さら?? と思わなくもないけれど、他の人たちが自立した20代の頃、ポーラは有名カメラマンの彼氏と共にメキシコで夢のような生活をしていたのだ だから、人より10年遅れて自立の時がやってきたのも、すごくよくわかると思った 彼氏に捨てられたばかりのポーラは、情緒不安定だったけれど、 そこから、いろんな人たちと出会い、いろんな経験を重ねて、誰の所有物でもなく、誰にも依存しない自分を見つけ出していく 31歳という年は、周りの人たちから 「まだまだ若いから」と言われるけれど、本人からすれば「もう若くない」年である それでも、最後にポーラが選んだ生き方を私は尊重したい ポーラと母との関係、ポーラと元彼との関係を考えた結果の答えだと思ったからだ 28〜32歳ぐらいの頃は、仕事も、家族も、プライベートも迷いの時だと言ったけれど、 その答えを探す中で、もっとも優先すべきなのは「自分が幸せで、楽しくいられる環境」を作ることなのだ 私はラストのポーラを観て、そう確信したし、彼女のラストの表情がそれを物語っていた 私には、納得の終わり方だった 面白いなぁと思ったのが、猫 日本では、よく独身女性と猫をセットで語られがちだけれど、フランスでもそうなんだなっていうのが面白かった 古今東西、独身女性には猫がよく似合うんだなぁ
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