「ロシアのロックミュージックシーンを美しいモノクロ映像で綴った良作」LETO レト sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
ロシアのロックミュージックシーンを美しいモノクロ映像で綴った良作
冒頭のビーチでの遊興の描写がとても良い。
モノクロ画面だからこその繊細な質感。広角画面に映る砂浜や木立の広がり、優しげなそよ風。
レニングラードの短い夏の雰囲気が詩的に表現されている。そして新人ミュージシャン2人のデモ演奏、夜は焚き火を囲んで若者たちの乱痴気騒ぎ。
本作の題名LETO(ロシア語の夏)をビジュアル化した見事なシーンである。
音楽がテーマの映画であるが、このシーンを観るだけでも私には価値があった。
洋楽に関しては疎いので、西側の原曲もわかっていないのだが、ロシアのミュージシャンたちのオリジナル曲も悪くなく、西側への強い憧れもひしひしと伝わってきた。MV風の演出やアニメーショングラフィックも面白い。
ただ新人ミュージシャン ヴィクトルと人気ボーカル マイクの妻のナターシャとの恋愛については、敢えて入れなくてもいいように感じた。二人にそれ程の本気度はなく、スターボーカルのマイクの悲哀だけが強調された印象。まあ実話に基づく脚本の一要素として入れたのかも知れないが。
ヴィクトル役のユ・テオは「パスト ライブス」の彼だったとは、データを見るまで気付かなかった。
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