「大人の童話」幸福なラザロ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
大人の童話
朴訥として善良な正直者の物語。聖書に出てくる聖人の名だそうだ。
原題も「幸せなラザロ」。彼はあれで幸せだったのか?がずっと脳裏に付きまとう。あれで幸せだったとしたら彼はどれだけ愚鈍であろうか。いや本当に彼は何も嫌な思いもせずにいたのなら、幸せだったと言えるのじゃないか。
そして、自分のなかにどれほどの「ラザロ」がいるのだろうと自問する。
汚れがないのは善なのか?
世間になじまないのは悪なのか?
主役の、ドン臭いまでの、え?これ地なの?と思わせるような、ぼうっと突っ立ってこっちを見つめている姿が、その答えを求めているようだ。
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