「ある日、ラザロが…。」幸福なラザロ 十二滝わたるさんの映画レビュー(感想・評価)
ある日、ラザロが…。
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感想がまちまちで、これだけ多様な映画も珍しい。現代の欲望優先の社会システムとその中で崩れてゆくコミュニティ社会と殺伐とした個人の関係がもたらす喪失感覚には様々な思いが投入されるからだろう。
無欲で疑うことを知らないラザロは辛うじて模擬中世の社会では居場所を確保し生活をする事ができていたが、突然の現代の到来により命を失うも、狼により数十年後の現代に蘇生する。しかし、そこにはラザロが生きていける社会はなかった。ラザロは古代の私刑のように素手により民衆から命を奪われる。ラザロから狼は立ち去り、ラザロが再び蘇ることはなかった。ラザロは聖人とはならぬままに二度死ぬ。現代に蘇りの聖人は存在しない。現代に神もいない。
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