劇場公開日 2019年4月19日

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「哲学的考察〜コミュニタリアニズム〜」幸福なラザロ Shunsuke Fushimiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0哲学的考察〜コミュニタリアニズム〜

2019年5月12日
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この映画には、たしかに「宗教を下地に搾取と差別が蔓延する現代を風刺する寓話」という視点がある。しかし、もっとも重要な視点はコミュニタリアニズムという視点だ。理由は以下。

① 本作で語っているのは、〈善〉の意味を忘れるなと、監督本人が言っていること。
②監督にとって、家族や地域といったコミュニティは重要なテーマであること。
③コミュニタリアニズムでは、コミュニティで育まれた善を尊重すること。

以上から、この映画では、地域というより広い家族(コミュニティ)をテーマにしている。そして、そのテーマはコミュニタリアニズムそのものだ。したがって、この視点抜きに考察すると本質を見失うことになる。

★この視点で見えること★

私はこの視点によってコミュニタリアニズムは理想主義的な態度を取るということが見えてくると考える。なぜなら、この映画は風刺映画となったからだ。風刺とは、理想主義が陥るものだ。なぜなら、理想主義者は崇高な理想とは程遠い現実を嘆き、ついには皮肉り始めるからだ。つまり、現実を風刺し始める。そして、監督が「善の意味を忘れるな」と命令形で語ったことは偶然ではない。これは、現実の一段上からの言葉である。要するに、この映画によって、コミュニタリアニズム的な視点は理想主義的な性質をおびうる、と示された。

私は理想と現実の両方が大切であると考える。どちらか片方にこだわる「主義」はいずれ失敗する。だから、コミュニタリアニズムを理想として持ちつつ、理想主義にしてはいけないとこの映画から学べると考えている。

上手く説明できたかは怪しいが、このレビューが皆様の考察の一助になれば幸いである。

参照記事
https://www.google.co.jp/amp/s/i-d.vice.com/amp/jp/article/zmap95/happy-as-lazzaro-is-the-poetic-italian-fable-you-need-to-see

Shunsuke Fushimi
きりんさんのコメント
2020年10月1日

コメント失礼します
「他アドレス」をレビュー内に記入しますと「違反」ということです。発覚次第、サイト運営事務局によって全文削除されますのでお知らせします。
私はつい先週まとめて5本削除されました。(関連記事や私の記述の出典を明確にするためのURLでした)。

事務局に問い合わせしましたら先方からそういう回答でしたので、ご注意下さい。

きりん