「もっと、多くの劇場で!」幸福なラザロ bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと、多くの劇場で!
漫画原作で子供向けの正視に堪えない日本映画が跋扈する中、この映画は大人の鑑賞に堪えうるなかなかの作品となっています。ワーグナーの楽劇「パルジファル」やブレッソンの「バルタザールどこへ行く」にも通じる作品です。☆を半分、減らしたのは、一見したところでは、目覚めた後のラザロの体を流れる時間経過が判然としなかったからです。大人になったかつての子供が同一人物であるとは即時には見抜けないでしょう。もう一工夫あれば、☆五つであったのですが・・・。なんだか、惜しいですね。
この監督はベルトルッチ、オルミの亡き後、イタリア映画界を牽引していく監督になるでしょう。この作品にも、家族や宗教を大切にするイタリア映画の伝統が脈々と流れています。
ひとつ不満があります。この映画が現在、札幌、東京、横浜、名古屋、大阪の大都市圏の小さな劇場でしか鑑賞できないということです。この映画は間違いなく今年公開される映画の中で象徴的な一本となる筈です。配給会社に強く要求します。公開する映画館を全国的に増やしてください。
一人でも多くの人に観てもらいたい映画です。
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