「胸の内側をゾワゾワさせるほどの快作にして怪作。本当に呆気にとられた」幸福なラザロ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
胸の内側をゾワゾワさせるほどの快作にして怪作。本当に呆気にとられた
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凄い。圧倒された。なんだこの映画は。単なる感動や美しさなどではなく、胸の内側をゾワゾワさせる何かがこの映画にはあるのだ。
古き良きイタリア農村風景が広がる。そこに一人の青年が暮らす。名はラザロ。懸命に働き、決して怒らず、穏やかな表情を浮かべる彼。だが人々は彼に関心を払わず、居ても居なくても同じ、空気のような存在として扱われる。そんな彼がなぜ、奇跡の聖人の名を付与されているのか。後半部では怒涛の展開が我らを襲う。まさかこんなことになろうとは予想もつかなかった。その内容については当然ここで書けるはずもない。
見る人ごとに感じることは違う。私には本作に、社会や文明に対する渾身の怒りや告発が込められているように思えた。もしも聖人が降り立っても、我々はそれに気づくことすらできないのかもしれない。だが我々は幸福にも、巨匠の風格を持つ若き女性監督を発見できた。この最大の喜びについてまずは神に祈ろう。
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