「宣伝文句に少々偽りありだが、話は痛快で演出も軽妙」ブラック・クランズマン AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝文句に少々偽りありだが、話は痛快で演出も軽妙
「黒人刑事がKKKに潜入捜査」と言うから、あの悪名高い白の三角の覆面と白装束の中に黒人が入り白人のふりしてハラハラドキドキ…という話かと思ったが、違った。主人公ロンは電話越しに白人を装って会員になる端緒を作っただけで(もちろん相手を信用させる話術と機転は見事とはいえ)、実際に組織に乗り込むのは白人刑事フリップ。ロンは電話でやり取りするだけなのに、「黒人が潜入」は煽りすぎ。
でもまあ十分に驚くべき実話で、展開は痛快だし、ロンが身バレしそうになるのと爆破計画を同時進行で見せたりするなど、ストーリーテリングも鮮やか。ラストに現代のニュース映像やネット動画で見せる黒人へのリアルな暴力から、スパイク・リー監督の怒りが伝わってくる。差別撤廃、権利平等、多様性尊重ときれいごとを並べても、現実は40年前から大して変わっていないじゃないか、と。
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