「これは俺にはダメだったよ」バーニング 劇場版 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
これは俺にはダメだったよ
これは俺にはダメだったよ。
「ラブレス」以来のほっとかれ感。思わせぶり映画を撮るなら、誰かがいなくなり、その理由も行く末も明かさずに終われば、一丁上がりって感じだ。
この監督には、「オアシス」「ペパーミントキャンディ」のレビューで、「悲劇の名手。俺に『ロミオとジュリエット』は当時こんな感じで大ウケしたのだろうなあ」と絶賛した。
この映画もまさに引き裂かれる悲劇だけれど、これはダメだよ。救いがないよ。
井戸はあったし、二人の繋がりは本物だよ。でも、こんな引き裂かれ方はダメだ。本当にダメ。
ハルキストじゃないから余計わからないのだろうか?俺は、ハルキは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」だけでいいや。
ヒロインはきわめて魅力的。男性二人の抑えた演技は見事。このあたりは、さすが。
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あまりに突き放されたから、みんなのレビューを読んできたよ。
なるほど。「ヘミは本当に実在したのか」か。最初から噛み合わなかったのは、俺でも感じていた。「村上作品では、井戸は、よく現実世界と心の出入り口として使われる」も「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読んだので、よく知っている。
なるほど、そう考えると「井戸から見上げたらジョンスが見ていた」というヘミのセリフは、まさに現実側と心の側っていうようにもとれるな。
みんな、すごいな。でも、そうだったとして、いったいどこから本物? ヘミは実在? ジョンスは? この世界を作り上げているのは、いったい誰の心なのか。ジョンスなのか、ヘミなのか。それともまさか、ベン…? 裕福だが何かぽっかり穴が空いているような心。ジョンスとヘミのような心の底での繋がりには懐疑的だが、本当は憧れているので、それを壊す想像を… いや、さすがに考え過ぎの無理スジだね。
CBさんコメントありがとうございます。私もヘミが実在していたと思っています。映像されているところは空想だと思えず。ただ猫はヘミの部屋では見ていないのでもしかしたら。と思いましたが。ベンの部屋に居たので。居たのだと。
ただ。ヘミの遺体が出ていないので……。
その辺はわからないところです。
なかなか考えが及ばないところがある作品でした。