「ミスリード」バーニング 劇場版 コパさんの映画レビュー(感想・評価)
ミスリード
クリックして本文を読む
「単純過ぎてミステリーじゃないじゃないか!」という声もあるようだが、それは見事に監督に騙されている。
ベンがヘミを殺したというのはあくまでもジョンスの主観による筋立てでしかない。彼にはそう思えたから、彼の目線で進む(原作も一人称だ)この話はそう見えるように作られている。
ジョンスが最後に犯行を確信する猫のボイルのくだりについても、彼は一度もボイルを見ていないし、本当にヘミが猫を飼っていたのかもハッキリしない。あの狭い部屋で、彼は何日通ってもフンしか見つけられなかった。
トイレにあった腕時計にしても、ヘミが消えた後にジョンスが会うヘミの同僚コンパニオンが同じ腕時計を付けている。どこにでもある安物だ。
そもそも、ヘミとジョンス(および周囲の人)の記憶はことごとく一致しないし、ヘミは整形で顔も変わっている。となると果たしてヘミが、あの食堂の娘の「ヘミ」と同じ人物だったのかどうかも怪しくなってくる…あぁ、わけわからん!
なんなら全ては童貞文学青年の妄想か?ジョンスは最後の最後にしか実際に小説を書いているシーンがないわけだし…
と、そんな狐につままれたような感覚をこそ楽しむ映画だと思います。画面に映っているものをそのままではなく、蜜柑の皮を剥ぐように、そして一房づつ内容を解き明かしてこそ面白くなる。
コメントする