「佳作です。」バーニング 劇場版 巻面包さんの映画レビュー(感想・評価)
佳作です。
基本的な原作エッセンスに、「井戸」「不審な電話」など、春樹の他作品の要素も取り入れられていて、ハルキリミックスといった様相で、非常に見応えがありました。村上春樹の作品は主にアメリカ・ポストモダン小説のトレースであって、モダニズムの整合性や自己完結性から距離を置き、メタファーの迷宮をぐるぐる巡る眩暈感や、幾様にも解釈を施すことが出来る多様性が魅力です。だから、その解釈の多様性の幅をちょっと狭める様なラストの展開は違和感はありつつも、これも監督の解釈なんだなと思って、好意的に受け取りました。「エアジン」から「死刑台のエレベーター」への差し替えも、効果的でグッジョブです。
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