「ジャンクーが描く中国の21世紀は悲劇だった」帰れない二人 エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャンクーが描く中国の21世紀は悲劇だった
「長江哀歌」「罪の手ざわり」の二本で早くもマストな監督の一人となったジャ・ジャンクーの新作。これを観ないという選択肢はない。
2001年から2018年、惚れた男に、そして社会に翻弄されながらも気丈に生きる女性チャオ(チャオ・タオ)を通して21世紀の中国を俯瞰する。
変わりゆく時代から忘れ去られたような内陸部の閉塞感、そしてあまりにも広大な大地が強烈なインパクトを残す。
報われることがないラストが悲劇を決定付けた。結局、何も変わらなかった、何も得られなかったのではと…
これはジャンクーの母国に対する思いをストレートに伝える傑作。彼の描く21世紀は冷たく悲しかった。
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