「イメージすること」イメージの本 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
イメージすること
ゴダールの政治的な社会主義に対する郷愁も内包されているという意見もあるようだが、僕は、もっと単純のように感じる。
多くの戦争が暴力であるように、革命にも不必要な暴力的部分が多くある。
民主的な革命であってもだ。
法が支配する世界にあっても、その法を背景に、或いは、法を権威に見立てた暴力もあるはずだ。
宗教が後ろ盾にある場合も同様だし、環境破壊や、世界に蔓延する貧困や搾取も構造的には暴力であることは間違いない。
また、最近のネット社会の思考のフィルターを通すことのない言葉のやり取りにも、暴力性を感じざるを得ない。
ここに文字として起こしたものは、そんなことは言われるまでもなく分かっていることだと言われそうなことのようにも思える。
しかし、情報が溢れる社会で、僕たちは、暴力による悲劇や、例えば、暴力的な言葉の一人歩き、そして、その拡散の怖さを、本当にイメージ出来ているだろうか。
知識としてインプットしているだけではないだろうか。
最初の「リメイク」のチャプターでは、芸術が戦争を正当化するような喧伝を行なっていたことが想起されるような場面もある。
世の中には完全なものなどない。
だから、省みることや、イメージを膨らませることが大切なのではないか。
そして、イメージを膨らませるためにはアーカイブも重要になるのではないか。
映画も同様だ。
直感も重要なのだが、そこからイメージを膨らませることが出来るか否かで、受け取り方や見方も違ってくる。
「何ひとつのぞみどおりにならなくても、希望は生き続ける」
僕たちの歴史は、断片のようなピースではない。
繋がっているのだ。
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