劇場公開日 2020年6月6日

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「時間は行きつ戻りつその人だけの時間になるということか」凱里ブルース redirさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0時間は行きつ戻りつその人だけの時間になるということか

2023年5月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

凱里ブルースというタイトルがよい。
冒頭、特徴ない顔の人たちが特徴なく薄暗い中出てくるし人間関係もよくわからないが、ストーリー追う映画ではないかと思い、それでも目を凝らしてみる、
薄暗いあまり衛生的でなさそうな住居。
病院には年老いた女性医師がいて気丈に地域医療をみている。体調イマイチな男の医師が主人公で彼の周りにいたり現れる人たちが少しずつ繋がっていく。
列車の通る線路脇の家とはいえないような住まい
外から鍵をかけて閉じ込められているがまあまあしあわせそな子ども
医師なのに泥棒のように鍵をいとも簡単に開けてしまう子どものオジ、、
そこからもう一つの街への旅、
深い緑が美しく、みずみずしく、
店や住まいは老女医のところ以外あまりよろしくない環境で、広い中国大都市ではない街や村の荒廃ぶりは映画を見るたびに今もこうなのかなんでなのか、と思うが、先祖や死者を弔うのに爆竹も紙銭も禁止、古い家屋は取り壊し再開発という話で今の話とわかる。
小さな街、家と家と間の狭い路地を歩けばまっすぐだが、ポンコツバイクでぐるりと迂回していくその様子が長回しで撮られており新鮮だし、小さな街小さな世界小さな宇宙をぐるぐると回っているだけ、ということにも感じられる。
ポンコツバイクタクシーの若い男子が、時計屋に売られた甥っ子と同じ名前で、おそらく服役中に死んだ妻に似ている理髪店の女の子、、風車、時計、様々な水面、、

過去も今も未来も不安定でその時だけの時間なのだと思う。

話題の作品だったので構えて見そうになったが、詩と音楽、時と、光、あとは人と人の出会い、他人としてすれ違うひとと、まれに微熱のような心が繋がる瞬間を感じる。列車や川渡しや古い変わらぬ暮らしぶりに、止まってては行けないはずの時の停止(失政)も感じるしこのまま止まってほしい郷愁も感じるし、静かならあいちやくとやるせない自棄の合判知る気持ちも受け取る
音楽や背後に聞こえる音が心地よく、とにかく風景が美しい。

redir