「女性とすべての人間へのエンパワメント!」ビリーブ 未来への大逆転 はとさんの映画レビュー(感想・評価)
女性とすべての人間へのエンパワメント!
素晴らしかった!現在の日本で裁判官が酷い判決を出す一方で、1970年代のアメリカでこうやって戦う女性が実在して、今も闘っているのかいるかと思うと胸が熱くなる!男女が平等ではないことはおかしいと、男だらけの中で学ぶことを武器として戦う格好良さよ!
主人公のルース・ギンズバーグはフェミニストとして象徴的な人物だけど、女性の権利を拡大して我が物顔したいなんて思っていない。ただ同じ権利を女性にも男性にもあるべきだという訴えをしている。国の補助や特定の職業を誰かの特権ではなく、皆のものにしようというだけ。ここがとても重要だ。勤勉で、情熱と怒りの炎をどちらもずっと心の中で静かに燃やし続けているルースを演じているフェリシティ・ジョーンズ、素晴らしかった。
ルースの夫役であるアーミー・ハマーも凄く良かった。同じく弁護士なんだけど、家族としても弁護士仲間としてもルースと共闘しているのがよく伝わってくる。また、男性だって男性らしさに縛られているから差別は良くない、という視点を持ってこれるのが映画としてうまい。
でも一番いいのは、仕事も子育ても家事も積極的で、ルースのことを愛している夫のマーティでさえ、普段ルースが女性というだけで、どんなに酷い差別に遭っているか、完全には気づいていなかったこと。あんなに素晴らしい人でさえ、分からないことがあることを示していたのが映画として素晴らしかった。彼ださえそうなら、ぼーっと生きてる私はどうだ?あなたはどう?気づいてる?無視してるか、意識にものぼってないんじゃない?そういうことを言われているように思えた。
だからこそ、そこでどうせ当事者のことなんかわからないんだ、と投げ出すのではなく、理解しようと努力し続けることが大事であることを、この映画でアーミー・ハマーの役がそれを伝えている。とても重要な役割を演じている彼の演技、本当に良かった。フェリシティとのバランスも絶妙。
ルースと娘とのやりとりもまたぐっとくる。世代を超えて、やり方は違っても心は同じであること、親子ものとしても女性同士の連帯としても観ることが出来た。
この映画は学ぶこと、理解しようとすること、行動すること、それらはどれも大事であることがきっちり示されている。いわゆる勉強というだけでなく、知ることで生きるために使える武器が増えていくこと、行動することで周りも動くことが明確に見えてくる。私も何かやりたくなるような力をもらった。