「大スターだったジュディ・ガーランドの最後のステージ」ジュディ 虹の彼方に Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
大スターだったジュディ・ガーランドの最後のステージ
監督ルパート・グールド監督による2019年製作のイギリス映画。
原題:Judy、配給:ギャガ。
最後、観客に罵声を浴びせクビになったロンドン公演に飛び入っての見事なレニー・ゼルウィガー演ずるジュディ・ガーランドによる熱唱。更に謳うOver The Rainbow、感極まり途中で歌え無くなってしまった時、交流があった男性大ファン(同性愛者)が歌い出すことで始まる観客による合唱は、やはり胸を打ち、感動した。そのファンと自宅まで行き、一晩に渡り心の交流をしたエピソードが良く効いていて、上手い脚本とも思った。
ジュディ・ガーランドの歌う準備のいい加減さ、酒と薬まみれ、プロフェッショナルとしての精神に欠ける点は、容赦なく描かれていて感心させられた。また、5番目の夫に対する態度も酷く、うまく夫婦関係が築けないスターの身勝手さと哀れなところも、冷徹に示されていた。ただ夫役のフィン・ウィットロック(ラ・ラ・ランドでは、振られるボーイフレンド役)が若くて魅力的な男すぎて、二人が結婚することに説得力を感じなかったところは、計算外なところか。
ジュディの世話係役ジェシー・バックリーが、彼女を暖かく見守りとても良い味を出していた。最近の主演映画で歌も歌ってるらしく、大注目。
母親も含めて大人達が、歌が上手な少女スターをお金のなる木として搾り取る様子も丁寧に描かれていた。この辺りの構図は、米国でも日本でも同じかと、ある種の感慨を覚えた。そして、ジュディという人はエンタテインメント界でずるくしたたかにもなれず、無垢の精神をずっと持ち続けたままだったのかなと理解した。
製作デビッド・リビングストーン、製作総指揮キャメロン・マクラッケン、ローズ・ガーネット、アンドレア・スカルソ、ミッキー・リデル、ピート・シレイモン、ローレンス・マイヤーズ、リー・ディーン、アーロン・レベン、チャールズ・ダイアモンド、エリス・グッドマン、ヒラリー・ウィリアムズ。
原作ピーター・キルター、脚本トム・エッジ。
撮影オーレ・ブラット・バークランド、美術ケイブ・クイン、衣装ジャイニー・テマイム、
編集メラニー・アン・オリバー、音楽ガブリエル・ヤーレ。
出演は、レニー・ゼルウィガー(ジュディ・ガーランド)、ジェシー・バックリー(ロザリン・ワイルダー、ナショナル・シアター・ライブ「ロミオとジュリエット」等)、フィン・ウィットロック(ミッキー・ディーンズ、ラ・ラ・ランド等)、ルーファス・シーウェル(シド・ラフト)、マイケル・ガンボン(バーナード・デルフォント)。