「知らぬが花」ジュディ 虹の彼方に odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
知らぬが花
アメリカの国民的スター、ジュディ・ガーランドさんが47歳で亡くなる晩年のロンドン公演のステージにフォーカスをあてています。舞台「End of the Rainbow」の映画版。
大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインがセクハラを暴露されMe Tooムーブメントが起こり話題になったが、本作のジュディを見出したMGMのアーサー・フリードの悪名も高い、女優に枕営業を迫るばかりか子役にも手を出すロリコンだったとか。
「オズの魔法使い」の主役は当時の名子役シャーリー・テンプルの予定だったがテンプルがフリードの淫行に応じなかったのでジュディに回ったと後にテンプルが自伝で暴露している。劇中でも13歳のジュディの胸を撫でるシーンがあったがセクハラのほのめかしだろう。
ダイエット薬と称してアンフェタミンを飲ませていたと言うから驚きだ。そんな世界に子役時代から身を置けば体も心もボロボロになっても不思議ではないでしょう。
撮影をすっぽかすのは日常茶飯事、度重なる自殺未遂などで仕事を失い晩年はNYやロンドンでジャズを歌って凌いでいた。
ロンドンで同性愛者のファンと親しくなるシーンが印象的、ボードビリアンだった父がホモセクシャルだったこともありLGBTへの理解は深く、同性愛解放運動の象徴のレインボーフラッグはジュディにちなんでいると言う。
レニー・ゼルウィガーさん48歳が46歳のジュディを吹き替えなしで演じています、アカデミー賞も納得の熱演でしたが、根が悲しい話なので胸が痛みます。世の中には知らぬが花ということも多いので、「虹の彼方に」のドロシーのファンにはあまりお勧めはできません。