「同情ではなく、ある種の憧れが」ジュディ 虹の彼方に MPさんの映画レビュー(感想・評価)
同情ではなく、ある種の憧れが
ジュディ・ガーランドの晩年を、まるで、魂を絞り出すように演じるレネー・ゼルウィガーのオスカー演技は当然、見応え充分。しかし、断片的ではあるが、ジュディの子役時代もそれ以上に見ものである。幼くして才能を見出され、MGMミュージカルのスターとして脚光を浴びる陰で、会社から睡眠薬と興奮剤を交互に与えられ、まるで歌って踊るAIのように扱われたジュディ。やはり会社の都合で本当の誕生日よりも早く宣伝用のバースデイ・パーティがセットアップされ、同じく人気子役だったミッキー・ルーニーとの楽しいデートまでが、PRに使われてしまうジュディ。すべては、彼女を徹底的に管理し、洗脳しようとするMGMの首脳、ルイス・B・メイヤーの"子役飼育手段"だったのだ。しかし、舞台袖でルーニーに手を引かれながらも、客席からの拍手喝采に本能的に惹きつけられてしまうジュディは、たとえどんなに辛くても、人々をハッピーにするスターという職業に生きがいを見出してしまった、神から選ばれし人。そこに、同情ではなく、ある種の憧れを感じてしまうのは、筆者だけではないはずだ。
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