「やっとオスカーを獲れたね、ジュディ…ハリウッドの狭量さのせいで結局オスカーを獲れなかったジュディ・ガーランドを演じてレネー・ゼルウィガーがオスカーを獲ったのは、まるでジュディが獲ったようで感慨しきり…」ジュディ 虹の彼方に もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
やっとオスカーを獲れたね、ジュディ…ハリウッドの狭量さのせいで結局オスカーを獲れなかったジュディ・ガーランドを演じてレネー・ゼルウィガーがオスカーを獲ったのは、まるでジュディが獲ったようで感慨しきり…
①レネー・ゼルウィガーはまるでジュディが乗り移ったような名演。シルエットだけでは本物のジュディのよう。「シカゴ」の時は、ホンマに歌えるのやろか、と心配し、案の定キャサリン・ゼータ・ジョーンズに喰われてしまっていたが、ここでは、歌は本物のジュディの歌には敵わないとしても、見事な歌唱を披露。黄金期のハリウッドのトップミュージカルスターだったオーラも見事に醸し出している。②ジュディは少女スターの頃から、太らないように、長時間の撮影に耐えられるように、撮影時にいつも元気に歌い踊れるように薬を飲まされており、既に薬漬けであった(当時は覚醒剤の服用も許されていた)。彼女にとって何らかの薬を飲むのは日常茶飯事であった。③黄金期のハリウッドのスターといえば輝くような美女ばかり。その中で歌が何よりの売り物だったジュディは、自分の容姿にコンプレックスを持っていて、それが彼女を若い時から更に薬やアルコールに走らせたようだ。映画では結構可愛い子が演じていて、その点におけるジュディのコンプレックスには触れていないが、当時の映画会社のボスがどれ程の影響力を自分の抱えるスターに持っていたかは、ルイス・B・メイヤーと少女ジュディとのやり取りを通して描かれている。また、ライザ・ミネリは出てくるのかしら、と思っていたら似ているがもっと愛らしい顔の女優に演じさせていた。まあ、あんな個性的な顔のソックリさんは見つけられないだろうけど。④ジュディが中年のゲイ・カップルと一夜を過ごすシーン。ジュディは若い頃からLGBTQ+の人たちには分け隔てなく接していて、LGBTQ+のテーマカラーが何故虹の7色かと言えば、ジュディの『Over the Rainvow』のRainbowから取ったといわれる位。ラストのステージシーンで『Over the Rainbow』の途中でジュディが感極まって歌えなくなった時、ゲイ・カップルが励ますように『Over the Rainbow』を歌い出すところは印象的。そして観客が唱和しだすところは感動的だ。⑤最後の方のジュディの台詞にある「大切なのは虹の彼方にある何か(夢)が叶うことではなく、夢に向かって歩いて行くこと」だという人生哲学は大切だ。本人の性格や欠点にも原因はあっただろうけど、短かかった人生を彼女なりに必死に生きたのであろう。最近この言葉はやたら軽々しく使われて苦々しい限りだが、ジュディ、貴女は真のエンターテイナーであり、本当の“伝説”“レジェンド“だよ。貴女の歌が耳から入って脳を通り過ぎるのではなく心に届く限り、貴女を“忘れない”よ、ジュディ・ガーランド。