ゴールデン・リバーのレビュー・感想・評価
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ゴールドラッシュが舞台
と言うだけで、文化的にもちょっとおもしろいのだが、これはサスペンス要素があると見せかけてほぼ無く、殺し屋兄弟ののロードムービー。
色々要素は盛りだくさんの割にはそれはスパイスに過ぎず、え?そんなんで終わり?となり、旅路の果ては疲れきって実家に戻るという何とも遊園地のアトラクション的な着地を見せる。見てる間は楽しいが、後にはあまり残らなかった。
邦題に目が眩んだ者へ…
砂金採りにまつわる仲間割れサスペンスではなかった!あわよくば砂金採りの知識になるかも!なんて金に目が眩んだ私…。
西部開拓時代に、こんな考え方を持って生きることの驚きと、今までクローズアップされにくかった心の動き(そりゃ中にはこんな人もいるよねっていう…。)
父親から受けた虐待が、互いを守り合い生きてきた 悲しくも切ない兄弟愛を観せられ、
金に目が眩み歪んだ心の私を恥じたい…(汗)
現代ほどデータが無い時代とはいえ、皮膚に痛みを伴うならお湯で流すというガバガバの対策はどうなん?って思ったんですけど、これが金の魔力か…とも、、
金の採取については、丸山ゴンザレスさんのYouTubeにてガリンペイロで金を採っていた方のお話でも精製工程で水銀を使ったりと、体への影響は残るようで なんだかなぁという気持ちです。 ……と、感想も歪んだままですが、
とても良い映画です!!
邦題を考えた方は、『この映画で人の心を学びやがれ!』というトラップを仕掛けられたのだと思います。。以上です。
犬の映画かと思ってたら全然違ってた
勧善懲悪ではない西部劇。あの化学式は何だったのだろう?漂白剤か何か?てっきり錬金術師なのかと思っていたけど、黄金が光って見える薬だったんですね。後半の楽しそうな4人を見ていたら心が和んできました。
冒頭から銃声が重く響いてくる緊迫したシーン。雇われた殺し屋な二人だが、徐々に彼らシスターズ兄弟の夢を追いかける姿に心惹かれていく。親父の残虐な遺伝子を引き継いだ彼らも夢を見つけてまともな人生を歩もうとしていたのだ。
ジョン・C・ライリーのなにかと笑えるエピソードも堪能しながら、純粋に金を掘り当てようとして、提督の束縛から逃げようと考えるようになる4人がうらやましくてしょうがなくなる。メイフィールドから奪った金があれば生活は保障されてるのに、それでも夢を追いかけてしまうようになるのだ。
暖かいベッドとお風呂さえあれば幸せ。あとは娼婦からもらったスカーフ。失うものも大きかったけど、幸せがどんなものかとわかったラストを見て、急に風呂に入りたくなった。
期待し過ぎた
豪華俳優陣で期待しましたが、ストーリーに抑揚がなく、少し残念でした。安心して見ていられる穏やかな映画という感じ。父親の影響から、有名な殺し屋になるけど、ラストは兄弟揃って母親の元に帰り、幸せを噛みしめる、めでたしめでたし。シースターズ兄弟というのが(笑)恐ろしい殺し屋だけど心優しいジョン・C・ライリーはハマり役。
けっこうよかった
弟が殴ったのに「酔って忘れた」とすっとぼけていたので、殴ると「オレは平手だった」ととぼけていたのがバレるところなど面白い。馬をすごくかわいがって、死ぬのを悲しむ。シスター兄弟という、姉妹か兄弟かごちゃごちゃする。
金が光る薬品が怖い。情弱が欲に目がくらむと大変だ。
提督を殺しに行くと死んでいて、だったらもう刺客も来ないわけで、行く必要もなかった。運命について考えてしまう。
少し肩透かしされた気分…
もう少しハードボイルドな感じを予想していたのに、ジョン・C・ライリーは、シュガーラッシュのラルフっぽさが見えて、微妙にほのぼのしてしまった。原作にあたって、気持ちの補完をしてみる予定。
映像は素晴らしい!オープニングの暗闇での銃撃戦は極めてクールなのに、ラストは柔らかな風まで感じさせる繊細さ。そしてアメリカの荒野の美しいこと! ブロークバックマウンテンもそうだけど、アメリカの大自然は、アメリカ人ではない人の方が、その残酷な美しさを撮影できるのかも。
イーライズ・カミング
邦題が全然違うので、上映が始まるまで「シスターズ・ブラザーズ」の映画化だとはちっとも知らなかった。2013年に原作の邦訳が出て、そこそこ話題になったのに、何故わざわざたいして訴求力のないタイトルに変えるのだろうか。
熊に食われる馬や蜘蛛を食うイーライなど、フロンティアスピリッツと言えば聞こえはいいが、とにかく過酷だ。金を光らせるという謎の化学物質は環境汚染の極みだし、銃で撃たれるよりはるかにむごたらしい死にざまだ。
追記:ルトガー・ハウアーに合掌。
ホームドラマ
予告で感じたようなサスペンスはない。
ただ、あんな予告じゃなければ、も少し評価は上がったと思う。
荒野を往く兄弟の話。
歯ブラシの習慣もないような野蛮な時代の話なのだけど、悠久な時間に思いを馳せる。
昔も今も、人の営みに必要なモノはあまり変わってないのだなぁと思う。
手段が変わっていってるだけなのだろう。
彼らは殺伐とした荒野を旅し、母がいる実家に帰る。殺し屋稼業なんてしてる荒くれ者なのだけれど、母親の前では子供に戻り、兄であり弟の立位置に戻る。
かなり野蛮なホームドラマで、体裁を整える余裕のない時代背景だから、内面に目が向く感じ。彼らが旅する荒野も、生業も、クモもクマも化学式も、それがもたらす成果も、様々なものに置き換えられる。
今も昔も。
インターネットがあってもなくても。
生きていくのは大変だなあと思う。
その人生を豊かにしてくれるのは友であり、チャレンジであり、その他のものはただの副産物なのだと思える。
兄弟は助け合い、母の元へ帰る。
人類はずっと繰り返してきたんだなぁと。
「大変だなぁ、兄弟。頑張っていこうぜ」と、俺の前で背中を丸めながら階段を上るサラリーマンに、ふと仲間意識を抱いた。
そんな作品だった。
仏教西部劇
小説の映画化だけあって、とても文学的な西部劇でした。
EliとCharlie Sistersという殺し屋兄弟が「提督」から引き受けた依頼は、何かを盗んだとされるWarmの殺害。Warmの追跡を探偵Morrisが先に開始しているとのことで、とりあえずMorrisと落ち合おうとします。
単なる追跡劇ではありませんでした。
Sisters兄弟の生い立ちと関係性は、喧嘩しながらも助け合う道中のきめ細かな人物描写から伝わります。原題通り主役はこの兄弟であり、明らかになるWarmの正体や、Warmの理想郷に感化されるMorrisは、生業を変えるか変えないかで揉めていた兄弟を大きく変える最大のきっかけという感じです。邦題やポスターは金塊の奪い合いでも想像させるようで、イメージが異なります。
確かに一攫千金を狙うのですが、それにより得たいものは何なのかと問われます。Eliは愛する人との安定した平和な暮らし、Warmはユートピアの実現、Morrisは真の自由でしょうか。Charlieは豪遊しか思いつかなかったようですが、好かない奴だったMorrisとも打ち解けます。狙って殺し、狙われてまた殺す、その繰り返しで生きてきた兄弟も、殺し屋とターゲットで構成される4人の不思議な共同生活に、居心地の良さを見い出しているようでした。
MorrisとWarmも、元々は探偵と調査対象ですが、共同経営者となり友情を育みます。Warmは特にMorrisを気に入っているように見えました。生き延びるためとは言え、自分の命を狙って来た探偵や殺し屋を受け入れてしまうという信じ難いほどの懐の深さですが、壮大で立派な理想を掲げるだけはある人物です。
MorrisもSisters兄弟同様に父親への反発が仕事に影響しているという共通点がありました。
短絡的なCharlieの行動によって迎えるこの共同体の結末はまたもや意外な悲劇でした。手っ取り早く富を得たいという沸騰した欲望が不可逆的な破滅をもたらします。情に厚く優しい兄Eliは、弟を死守するために、嫌気がさしていた殺しを頑張らなければならなくなり、一方殺し屋として名を上げたかったCharlieは片腕を失い意気消沈してしまいます。
とにかくお兄ちゃんの愛情深さが際立っていました。ぶち壊す弟と立て直す兄。最初は悪ふざけで泣きマネをしていたCharlieが、最後は本当に泣いてしまう。そんな時こそしっかり弟を支えて守らなければと心に誓ったでしょう。いつの間にか馬に名前を付けていたり、慣れない歯磨きでMorrisのお手本を見つめたりと、何とも良い感じでした。
長旅により不本意な方向へ変わらなければならなくなった兄弟。
そして追っ手もいずれは途絶える…。
諸行無常の果てに着いた先は出発点。
そこには変わらないものがありました。
個性派俳優を集めた奥深いドラマでした。
機会があればもう一度観たいです。
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(原題は単に「シスターズ兄弟」という意味ですよ…。本作全体に散らばる皮肉っぽいジョークのひとつです。女々しいような名字ですが、実際は、泣く子も黙る凄腕殺し屋兄弟な訳です。犯罪組織?のボスが、The Commodoreと呼ばれているのと同類のテイストかと。)
馬に乗りたくなる
4人の人間模様が織りなすサスペンスかと思いハラハラしてたけど気苦労でした。リズアーメッドはいい人のふりして…馬を殺したのはもしや…いえいえ、本当にいい人でした。あっさり4人仲良しに。楽しそう。
理想に目覚めたひとたちが夢破れてしまって哀しい。しかも仲間割れではなく調子に乗ったばかりに。
倒すべき父はなく、母の待つ家へと帰っていく。弟は片腕を無くしてようやく帰ることができた。現代の西部劇は男性性や父性と無縁ではいられない。
あんな大自然の中を馬で駆ける人生も送ってみたい。
歯磨きを初体験して気に入ってるのかわいい。
「スライド」を味わう見事な作品
原題はThe Sister Brothers、つまりシスター兄弟の物語。
兄弟なのにシスターって?!
そう、本作は、こういうズラし(事態のスライド)がたくさん出てくる。
シスター兄弟は名の知られたガンマン。
提督と呼ばれている土地の実力者に雇われている。
兄にジョン・C・ライリー、弟はホアキン・フェニックス。
このホアキン・フェニックスがいい。ほんと、相変わらず隙のない演技をする役者だ。
シスター兄弟は砂金を採取する方法を発見したという化学者を探して殺すよう、提督に依頼される。
だが、殺すはずだった化学者と仲間になってしまう。
これもスライド。
化学者を追う途中で兄は毒グモに襲われ、顔がかぶれる。
しかし終盤、兄だけが化学者の薬品でかぶれる被害を受けずに済む。
これもスライド。
荒くれ者の弟よりも、実は兄のほうが凄腕のガンマンだった。
これもスライド。
このように本作は、観る者をミスリードさせておきながら、そこから事態をスライドさせていくのだ。実にうまく。
化学者は砂金を原資に西部に理想のコミュニティを築きたいと考えている。
だが、最後に兄弟が行き着くのは母の待つ実家で、これまた、旅のゴールがスライドされる。
本作はシスター兄弟のロードムービーと言っていいと思うのだが、では、旅のスタートは何で、ゴールはどこか?
スタートは弟の父親殺しであり、それは母親を救うためでもあった(兄弟を迎えた母親の態度から、そう推測される)。
弟には父殺しの罪悪感があり、以後、心を荒(すさ)ませていく。
一方、腕が立つ兄には、それを弟にさせてしまったという罪悪感がある。
ゆえに弟は飲めない酒に溺れ、兄は酒に酔うことができない。
(ラスト、だから生家に戻った兄弟は酒で祝うのではなく、コーヒーを飲む)
旅の出発点は、「提督からの化学者殺しの依頼」だと思わせておきながら、実は「父殺し」へとスライドされるのである。
そうであれば、旅のゴールは生家しかない。
ここが本作の巧みなところで、そこがゴールになるとはまったく予想をさせない。
しかし、上述の通り、どんどん事態をスライドさせていき、このゴールに着地させた。
提督は死に追っ手はもう来ない。
彼らにはメイフィールドから奪った財産と砂金があり、お金に困ることはない。
兄弟にとって、旅を続ける理由はもうなくなった。
このように破綻なく旅をゴールさせた本作の脚本には感嘆する。
終盤、兄弟と提督の対決シーンを見たかった気もする。ストーリーとしては、間違いなく、そのほうがカタルシスがあった。
(盛り上げておいて、提督が死んでいた、というのも“ズラし”である)
でも、そうしなかった、というのは、これはそういう映画ではない、つまり、一見、西部劇のフォーマットを用いながらも、「ラストで決闘」という、いわゆる西部劇ではないよ、ということだろう。
これまた、西部劇あるあるをスライドさせている。
旅には、いつも思いがけないことが起こり、事態はスライドしていくが、いつか旅は終わる。
このメッセージを、このような作品に仕上げたオーディアール監督は、やはり、一筋縄ではいかない。
殺し屋兄弟のロードムービー?
それほど前情報があったわけではないが、金を探すっていう本筋に入るまでがかなり長かった。
そして、金を探す準備段階になったら、ちょっと楽しそうで、親密になっていく4人。なんかこんな話なの?そして起こるトラブル。さらなる追手も来たりして。でも最後は兄弟愛とか家族愛の話なんかい!ピンとこなかったなー。
正直ところどころ眠気に勝てなかった。なのでちゃんとした評価とはなっていないかもしれない。
男の可愛げと家族の絆
ここのレビューなどで、ステレオタイプな西部劇やクライムサスペンスを期待してると肩透かしになるという予備知識は得ていたんだけど、それでも消化不良に終わってしまったなぁ…。
多分、教訓とか深いテーマ性を求めて見ない方がいいんだろう。
男達の、人生、夢、ロマン、格好よさ、可愛らしさ、少年性…などに、家族の物語と胎内回帰的な救いを絡めた、男の賛歌的な感じ。
そういう男達のキャッキャしてるの嫌いじゃない筈なのに、イマイチ萌えきれなかったのは、多分登場人物に思い入れできなかったから。
まず序盤暫く、キャラクターの把握ができなかった。兄弟のどちらが兄で弟なのかも解らなかったし、髭で判別していたらチャーリーとモリスがこんがらかる。まあこれは単純に私の判別力のなさが悪い。
ようやく2チームの立ち位置を把握した所で、モリスが唐突かつ性急にウォームに寝返る。この二人、後に相当親密な愛情を抱いていたような台詞もあるが、何があっていつの間にそんなに距離を縮めたのか?いまいち納得がいかない。原作には書いてあるのだろうか…。
対して、シスターズ兄弟の、タイプの差異や、父親との確執、愛情と煩わしさが入り交じる複雑な心情は丁寧に描かれている。が、盗みと暴力、男臭さに満ちた世界。理解はできるが、感情移入は私には余りできなかった。
四人が合流すると、各々パートナーをずらした交流が描かれる。粗野で疑い深いチャーリーとインテリで理想家のモリス、人たらしなウォームと情の深いイーライ。四人の関係やバランスに変化が起こり、いよいよ面白い展開に…?と思った途端に、2名脱落。
もとより兄弟中心の物語なのかも知れないが、モリスとウォームのキャラクターについては、オイシイ要素も多く垣間見えていただけに、惜しい!そこもうちょっと掻き込んでくれれば…、としか。まあ、アッサリ加減がフランス映画らしいと言えばらしい。
欲が破滅を招き、追い詰められ、息を殺すうな逃避行。これは良かった。根元を絶たねば未来はないと、決死の思いで立ち向かう兄弟。と、何のラッキーか、おもむろに黒幕は消え、追手も消える。
…え、これは何の寓意?それとも笑い所なの?…と、完全に置いてきぼりを食らってキョトン。
そしてあのラスト。傷つき疲れた男達の帰る所は母の胸、本当に欲していたのは家庭での安息だった、という事でしょうか?それはそれでいいんだけど、兄弟に感情移入できてないから、はぁ、そうですか、まあ良かったね…としか思えず。
結局、私のツボとはずれていた、という事でしょうね。そういえばヤクザ物とかも苦手なんだ私…。
いかにも西部劇的な、正義の味方が悪を打つ構図にせず、人間らしい欲や弱さ、人生の迷いや理想にグラグラ揺れるリアルな人物像を描いている所はいい。
それを演じる豪華俳優陣の演技力や魅力も充分だった。ただ、俳優が誰かよりも、役所や物語に注視して見てしまう癖があるので、正直後で調べるまで、そんな有名所が揃っていたとは知らなかった。
暗いトーンで写される荒野の風景、野外や西部の街のシチュエーションも楽しめた。雰囲気とビジュアルはきらいじゃない。
ちょっとホロ苦い人生を味わえるロードムービー
オレゴンからサンフランシスコという移動ルートがまったく見当もつかなかったので、Googleマップを見たら、オレゴン州はシアトルとサンフランシスコの間に位置するアメリカ大陸の西側の州だったことが分かりました。勝手なイメージですが、現代でいえば西海岸を南北に貫く州間高速道路5号線を南下、東に連なるロッキー山脈を背景にサンフランシスコで折り返すというロードムービーだったのですね。
社長直属の有能な社員が新たなビジネスパートナーと出会い、新事業を立ち上げて独立を図ったら社長からの執拗な潰しに遭う。その過程では、それまで考えもしなかった夢や友達を得たのに、取り返しのつかない失敗でその友を失い、大きな挫折を経験するも、最後は色々な意味でのHOMEに辿り着き、安息を得る。
ベタな友情や裏切り、軽妙な掛け合いなどを期待して観に来たのですが、前半はあれ?なんか違うぞ、とやや慌てましたが後半、見方を切り替えたらとても味わい深く楽しめました。
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