「私の理解力不足か?それとも作品の説明力不足か?」サスペリア ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
私の理解力不足か?それとも作品の説明力不足か?
好き嫌いしちゃいけませんと言われるが、臆病な性分故にホラーは極力避けたいというのが本音である。つまり、私は“ホラー弱者”である。にも関わらず、私は本作を見て、怖いという感情は抱かなかった。
様式美と言えば良いだろうか。どこか美しく、どこか冷たいバレエ学校の雰囲気や魔女たちの意味不明な会話に不気味さはあり、特に前半でスージーがバレエ学校の入口をくぐるシーンのカメラワークは70年代の良質なホラーを見ているような気分になる。しかし、物語が進むにつれて、私は本作の怖さを見失った。そして、クライマックスの戦慄の魔女たちに宴にすら、恐怖は感じず、他人事で事態の収拾を見守るだけしかできなかったのだ。
オリジナルを未見というのもあるだろうが、私は“魔女リテラシー”が低いが故に本作を怖いと思えなかったのでは、と考えるようになった。ハロウィンこそ魔女のイメージがあるが、少なくとも魔女文化に慣れている欧米人が受ける本作の印象は私が感じたものと随分と違ってくるのではないか。
はっきり言えば、魔女たちの狙い、目論見がイマイチ理解できないのだ。しかし、私は“分からないこと”こそがホラーの本質と考えている。怖いと感じなかったのは私の理解力不足か?それとも作品の説明力不足か?賛否が分かれそうな作品であるが、本作の意味を理解した人と一緒に飲み語らいたいとも思っている。それもまた映画の醍醐味なのだ。
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