「煉獄版まどか☆マギカ」サスペリア ぶたぶたさんの映画レビュー(感想・評価)
煉獄版まどか☆マギカ
今更サスペリア? 文芸映画の監督が? という疑念をすっ飛ばす(作り手が端から小賢しいマーケティング意識を欠片も持ち合わせていないことが伝わる)作品でした。
ヘレディタリーを越えるオカルトホラーは今後10年は観れないと思っていたんですが、いや総合的にはヘレディタリーの方が上だと思いますが、とにかく瞬間最大風速が素晴らしく、もう理屈ではなく好きです。
サラウンドで四方八方から終始聴こえる苦痛によるうめき声なのか快感による嬌声なのか判然としないSEを筆頭に、美/醜、幻想/現実、融合/分断、といった反目する要素を、二時間半という長尺を使ってじっくりと同じレイヤーに積み重ねていくことで、生が苦しみに/死が癒しになるような価値観の転倒=混沌極まるクライマックスも、当然の帰結として受け入れることができます。
伊産ジャッロのいかがわしさを踏襲しつつドイツ戦後史と土着信仰を織り交ぜ、暗黒舞踏を舞い舞いトムヨークの歌声が鳴り響く阿鼻叫喚の血みどろ地獄絵図は、ちょっと怖い映画でも見ようとうっかり迷い込んだ大学生集団も、ある種の前戯としてホラー映画を利用するカップルもまとめて奈落の底に叩き落とす! もう凄すぎて自然とデーモニッシュな笑みを浮かべながら観ていました。グハハハハ
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