「エル・ファニング」メアリーの総て META坊さんの映画レビュー(感想・評価)
エル・ファニング
名前だけは誰もが知っている『フランケンシュタイン』。
だが、その小説について詳しく知っている人は、どれだけいるだろう。
この映画は、小説『フランケンシュタイン』の著者、メアリー・シェリーの、後に夫となる詩人パーシー・シェリーとの出会い(正確にはその少し前)から、度重なる苦難の末作品を書き上げ、出版するまでを描いた実話。
気になってあとで調べてみると、時系列を含め史実とは若干異なるようだ。
ろくでもない男と恋に落ち、駆け落ちまでした16歳のメアリーだが、幸せは長くは続かなかった。
深い悲しみと絶望の中で書き上げた『フランケンシュタイン』を出版社に持ち込むが、そのあまりにも奇抜な内容に、出版社はどこも取り合ってくれない。
そればかりか、18かそこらの小娘に、こんな本が書けるわけがないとばかりに、本人が書いたことさえも信じてもらえない。
そんな中、匿名を条件にようやく出版に漕ぎ着け、後世に名を残す女流作家が誕生した。
ざっとこんなお話。
映像も音楽もとても丁寧で素晴らしいが、なんと言ってもメアリー役のエル・ファニングが最高だ。
撮影時の年齢が、ここで描かれてるメアリーとほぼ同じだとは言え、まだ少女の面影が残る冒頭の場面から、辛さを乗り越え大人の女に変貌していく様がお見事。
彼女無しではこの作品は成り立たなかったと言っても、決して過言ではないだろう。
まだ若いのに、この演技力。
今後が楽しみな女優さんが、また1人増えた。
それにしても、意外なほど上映する劇場が少ないんだが、ちゃんと宣伝したら、観たいと思う人は多いと思うんだけどな。
勿体ないな。
この作品を上映してくれたルミエール秋田に感謝。