「男気溢れる勇者達の熱闘」ハンターキラー 潜航せよ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
男気溢れる勇者達の熱闘
いやー面白かった。潜水艦を舞台にした静的な作品だと思っていたが、そうではなかった。全編、危機回避の緊迫感が途切れることがない動的な傑作だった。典型的な危機回避サスペンスであり、潜水艦シーンが多い作品だが、陸と空のシーンをバランスよく織り込んで、陸海空で繰り広げられるダイナミックな危機回避サスペンスに仕上がっている。
本作の主人公は、攻撃型潜水艦ハンターキラーの艦長ジョーグラス(ジェラルド・バトラー)。アメリカの原子力潜水艦がロシア近海で消息を絶ち、有事を想定し、ハンターキラーが捜索を開始する。ハンターキラーは次々と新事実を暴き出し、人類の未来を揺るがす陰謀に立向っていくが、そこには、想像を絶する苦難が待ち受けていた・・・。
兎に角、危機のタイミングに圧倒される。従来作の危機は、節度があったというか、寸止めであり、決定的な事態には至らないのだが、本作は、決定的事態に突入してしまうので、意外性があり回避の道筋が予想できない。“えっー、ここまでやっちゃうと後戻りできないじゃん”という99.99%の極限まで危機が進行する。残り0.01%まで危機回避のタイミングを遅延しているので、今までの映画鑑賞では感じたことのないハラハラ・ドキドキ感を味わえる。
99.99%まで進行した危機を、残された0.01%の中で突破していくシーンの連続であり、画面から一瞬たりとも目が離せない。危機が回避された時の爽快感が堪らない。
このように、本作は危機回避サスペンスとして一級品であるが、それ以上の魅力を持っている。それは、主人公を始めとする男達の魅力である。危機に立向う男達は、並外れた行動力、洞察力、勇気の持ち主だけに留まっていない。組織に縛られない男らしさが際立っている。本作は、危機回避サスペンスでありながら、男気という言葉が浮かんでくる雰囲気を持っている。
本作は、危機を極限まで進行させることで、危機回避の醍醐味を倍増させた、男気溢れる傑作である。