「ル・ルドゥタブルの艦内での暮らし」グッバイ・ゴダール! いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
ル・ルドゥタブルの艦内での暮らし
クリックして本文を読む
『ゴダールを知らない者は映画を観る資格無し』、なんていう格言などは無い。別に“ヌーベルヴァーグ”なんて知らなくたって映画作品は数多ある。自分が分らないモノ、理解出来ぬモノはドンドンDisればいい。批判的な批評だろうと今の時代はとりあえず表明は出来る。勿論、炎上商法なんていう技だって日常茶飯事。映画も演出ならば、レビューだって同様だ。
唯、一つ言える事は、今作品は間違いなく、五月革命、五月危機を知らなければ面白味も半減してしまうということ。勿論、自分もフランス現代史なんて知識もないし、今でも興味は薄い。そんな中で繰広げられる、中二病の中年男と、その才能だけに惚れてしまったミーハー女の短い恋愛話という矮小なストーリーというカテゴリーで括ってしまうのはいささか乱暴すぎるということは充分自覚はしている。映像のルックがまるで昔のアメリカのテレビドラマな感じやら、全体的に包み込むウィットや、フランス仕込みのアイロニーとエスプリ、そして天丼の眼鏡が壊れるギャグも、おフランスの正にイメージ通り。私人と公人の間の葛藤など、ブルジョワでセレヴのみが悩むことが出来るさもしい思考。結局、平和と平等なんてものは人間の妄想以外のなにものでもないことを、冷たく今作品は訴えているのではないかと思える程のラスト。
しかし、こんな作品を一刀両断に切り捨てるのも又、了見の狭い人間なのであろう。そう、まるで潜水艦の中の生活そのものの思考だ・・・そんな中で、フランス映画に憧れがあるとすれば、堂々と女優が脱ぐこと。せめてこれだけは邦画でも真似て欲しいと願うばかり。
コメントする