若おかみは小学生!のレビュー・感想・評価
全169件中、1~20件目を表示
高坂監督の実力を知らしめた
背景が美しい、作画がなめらか、キャスティングもばっちりはまっている、そして脚本の構成が抜群。あらゆる面で高レベルな作品で絶賛が相次ぐのもわかる。子ども向けと子ども騙しは全く異なる。本当の子ども向けの傑作は大人も感動させる力があるが、これはその見本のような作品だ。
おっこの健気さは、両親の死を受け入れていない危うさと表裏一体で、仕事を通じて成長していき、1つの達観した感覚に達する。仏教的死生観が根底にはあるがそれは決して難しいことではない。理屈ではなく感覚でそれをわからせる説得力が画面にみなぎっている。
高坂希太郎監督は、ジブリの作画監督として有名だがこれまであまり積極的に監督業はされてこなかった。しかし『茄子 アンダルシアの夏』など非常に質の高い作品で、監督としても相当に実力がある人なのは明らか。これから積極的に監督業にも進出してもらいたい。日本映画を代表する監督になれるだろう。
ジブリの魂を継ぐ者
原作は同名の児童文学。
ジブリ企画の『那須 アンダルシアの夏』で宮崎駿から直々に指名された高坂希太郎が監督。
【ストーリー】
主人公・おっこは小学六年生。
交通事故で生死の境をさまよった後遺症で、霊や妖怪が見える「霊界通信力」を持つようになる。
両親をなくしたおっこを引きとったのは、温泉旅館"春の屋"を営む祖母の峰子。
凛とした心根の峰子のもと、中居としてはたらくおっこ。
事故からの転居に霊界通信力のめざめ、接客労働、転校という環境の変化にも、おっこは持ち前の馬力とほがらかさで乗りきってゆくが、ときおり原因不明の呼吸困難におそわれる。
視聴された方はご存知でしょうがこの映画、非常によく出来てます。
それもそのはず高坂希太郎、発注されてジブリのスタジオで仕事していたら、宮崎駿がそれを見て「絵が抜群に上手い」と太鼓判を押したアニメーターです。
『那須 アンダルシアの夏』ではインタビュー中ずっと自転車の話してましたが、なんでだか上坂監督アスリートみたいに速くて入賞とかしちゃってる人。あれ?SHIROBAKOにそんなキャラいたような……。
とことんやるこだわり派だから、きっと宮崎監督も認めたのでしょう。
自転車って宇宙で一番描くの難しいから、企画押しつけられてめちゃくちゃ嫌だったそうですが。
当時CGもあんまり普及してなかったし、ほぼ手描きはしんどすぎる……。
スズキハスラーのアニメCMも、この高坂監督ですよ。
あの軽快なリズムの曲、メッセンジャーってバンドの『That's The Way A Woman Is 気になる女の子』っていうんですね、今知りました。
テレビアニメも放送されましたが、ストーリーは劇場版オリジナル。
この作品単体で完結してます。
作画もいいんですが、すごいのがおっこの事故の記憶を巡る構成と演出。
子供なんか怖がってしまいそうな、ホラーちっくなカット割されてます。
新海誠も「幾度も笑わされ、幾度も泣かされました」と絶賛。
高坂監督は別にジブリの所属じゃないんですけど、長くジブリと仕事をした人。
宮崎駿の一番弟子なんて言われたそうですが、実際にジブリ生え抜きアニメーターと比べても、作品や演出の理解は頭ひとつ抜けてます。
ジブリの次世代を嘱望されたアニメーターたちはついつい宮崎駿の方向に行きがちなんですが、そっちにいっちゃうとフォロワーとしか見られないし、どれだけハイクオリティに作ってもミニ宮崎作品にしかならない。
このあたりは庵野秀明も指摘してます。
比して高坂希太郎ですが、ジブリ風でない絵もぜんぜん描けて演出もしっかりしている。
宮崎駿の薫陶を受けた中で、宮崎駿なんて追いかける必要ないんですよ、ということを世に知らしめられる数少ないアニメーターなんですね。
監督作品も数少ないのが、残念ですが。
高坂監督、そろそろ次の作品もおねがいします。
児童小説が原作だからね。期待し過ぎは禁物
巷での評価も高く、大人も観られる作品だとの良い噂も聞いたので観ることにした。
よくまとまった良い作品だと思った。
しかしそれはあくまで子ども映画としてだ。
ああするべき、こうするべきと改善点等をたくさん書き連ねることもできるが、自分から子ども向け作品に首を突っ込んでおきながらダメ出しするのも筋違いだと思うのでやめておく。作品は何も悪くないのだから。
だけど、私と同じような犠牲者を出さないためにも書いておかなければならない。
本作はギリギリ大人の鑑賞に耐えられる程度の本格的子ども映画だ。
朝とか夕方に地上波で放送しているファミリーアニメーションなどの感覚で観るなら本当によく出来てる。
それ以上のものを求めるならば観ないほうがいい。
つまらないレビューになってしまったのでどうでもいいくだらないことを書き足そう。
ある宿泊客とのエピソードで、おっこは彼を満足させるために己のプライドもかなぐり捨ててライバル真月に助けを求める。
「お客様に満足してもらう方が大事だもん!」と奔走するおっこ。接客を生業とする旅館業とはいえ、おっこの行動は小学生でありながら完全に資本主義を内面化している。
「すべてはお客様のうまい!のために」を地でいくほどの情熱。それは言い換えれば資本主義経済に何の疑念も抱かない経済活動の権化だ。
「お客様の喜ぶ顔が見たい」というささやかな幸せを大幅に越えるほどの、強迫観念に近い「顧客第一主義」がさも当然のように描かれることに、違和感はなかっただろうか。
おっこが過剰とも言えるほどのサービスを提供する姿を、幼い子どもたちにさも美徳のように刷り込む一連のシーンは、もはや「資本主義のプロパガンダ」と指弾されてもおかしくない。
と、妻が私に語った。頭にはてなマークが浮かんだ。子ども映画で熱く語りすぎだろ。
予想より面白かった
正直、観るまでは、幼女がおかみをめざして
がんばってるけれども
可愛らしいドジを繰り返しちゃって、
無駄に入浴シーンなどが挟まる
ロリコン向けの気持ち悪いアニメなのではと予想していた。
見てみると思いのほか
心温まる異業種との交流や
子供ながらに職業理念に燃えるところもあって
気づいたら応援して観ている自分がいました。
”子供だまし”ではない良質な物語の世界へ
児童向け小説発・絵柄が子供向けっぽいということがひっかかり、いまだに視聴に至れないという方は多いのではないでしょうか?
言いたいことは分かります。
私も最初は「子供向けでしょ?」・「絵がな~」と作品の視聴を敬遠していましたから。
しかしいざ視聴をし始めすぐに物語の世界へと引き込まれた。
それは端的に言うと”子供向けの作品”だと舐めていたからだ。
一度物語の世界に入ってしまえば、この作品は視聴者の目を、心を、釘付けにし離さない。
もう感情の高鳴りが抑えられない。心のダムが決壊し今にも感情があふれそうになる。
悪いことは言わない。後悔もさせない。
だからこの作品に少しでも興味があれば見てみよう!
この作品は児童向けに作られた作品であるのかもしれないけれど、紛れなく名作なのだから。
【”春の屋の温泉は誰も拒まない、総て受け入れる・・。”突然、両親を喪った少女おっこが、祖母が経営する温泉旅館「春の屋」で懸命に働き、幽霊や、曰くある宿泊者との関係性の中、成長していく姿を描いた物語。】
■突然の自動車事故で両親を亡くし、奇跡的に生き残った小学生おっこが、おばあちゃんが経営する温泉旅館「春の屋」に住むことになる。
しかし旅館には若き日のおばあちゃんと深い関係に合った、幽霊のウリ坊も住んでいた。
おっこは彼のお願いで旅館の若おかみとして修業を始め、様々な事情を抱えつつ、「春の屋」にやって来た客と接する事で成長していく。
◆感想
・おっこが突然の自動車事故で両親を喪い、祖母の営む温泉旅館「春の屋」に住み込み、ウリ坊の願いもあり、深い哀しみを抱えつつ、祖母を助けようと奮闘する姿。
ー 深い哀しみを敢えて直接的には描かず、おっこにとっては両親が生きているかのようなシーンを挟み込む哀しき巧さ。特に布団の中でのシーン・・。-
・おばあちゃんと、昔友達だった、ウリ坊(誠君)が、お婆ちゃんを気遣いながら、おっこに”「春の屋」の女将になってくれよ‥”と頼むシーン。そして、ウリ坊(誠君)の姿は、生死を彷徨ったおっこにしか見えない設定の妙。
■”春の湯の温泉は、誰も拒まない、総て受け入れる”。と言う作品スタンスも良い。
春の湯を訪れる数々の客。
それは、母を亡くした男の子と父であったり、占い師でありながら、彼氏に振られた女性であったり・・、そして最後に訪問したのは、彼女の両親を哀しき事故故に死に至らしめてしまった運転手の家族であった・・。
だが、この作品では「春の屋」の人々は、宿泊客に出来る限りのおもてなしをするのである。
・おっこにしか見えない、幽霊たちも魅力的である。
ウリ坊(誠君)が、且つて好きだったお婆ちゃんを気遣う姿。温泉街を牽引する旅館の娘”ピンフリ”の亡き姉ミヤ。ソシテ、土鈴の化身“鈴鬼”のキャラ立ちも良い。
<両親を亡くしながらも懸命に日々を過ごすおっこが様々な幽霊や、事情をお抱えたお客さんとの、出会いと別れを経て成長していく姿が素晴しい。
そして今作は、子を持つ親には、特に響くモノがある素敵な物語なのである。>
■今作の脚本を手掛けた、吉田玲子さんの手腕が、見事に発揮されたと思った作品でもある。
小学生向けのハートフルコメディだと思っていたら『ミッドサマー』ミーツ『シックス・センス』&『ハロー!?ゴースト』のような極めて残酷な宗教的テーゼに貫かれた骨太な成長譚でした
傑作だという評価だけを頼りに全く何の情報を持たずに鑑賞しましたが、これは衝撃的な傑作。このタイトルからほのぼのしたコメディを勝手に想像していましたが、『ミッドサマー』の主人公ダニーが遭遇した悲劇と同等の出来事が展開する冒頭で頭が真っ白になりました。それゆえに主人公のおっこが寂しそうな表情は時折見せながらもあくまで気丈であることに激しい違和感を覚えます。おっこは自身の臨死体験を契機に『シックス・センス』のコール少年と同じ霊能力を獲得、しかしおっこはその能力を使って『シックス・センス』とは逆に、様々な悩みや葛藤を抱えてやってくる春の屋の宿泊客の魂を解放していきます。
“花の湯温泉のお湯は、誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれる“というセリフが劇中で何度も繰り返されますが、これは極めて宗教的なもの。それはおっこを試すかのように更に過酷な運命を引き寄せる。終盤のこの展開はとても児童文学シリーズが原作とは思えない残酷極まりないもの。なぜ彼女がここまで追い込まれなければいけないのかという思いに胸を掻きむしられた後に訪れる展開もやはり極めて宗教的なもので、映画を観ている観客の魂をも浄化するもの。エンドロールが流れる中で観客の拍手が巻き起こったのが印象的でした。
新宿東口映画祭にて鑑賞。朝イチ上映に集ったのは20名弱の30〜50代のオッサンばかり。その全員が目を真っ赤にして鼻を啜りながら退場していく様は傍目には相当異様な光景だったと思います。
不幸にめげない小学生に涙
絵柄も愛らしく、話はコミカルかつしっかりと作ってあるので、子供達と一緒にでも、楽しく見られる。
ただ、一歩引くと、若おかみはとてもハードな運命を背負って生きていて、泣ける。若おかみのところに現れる小さな幽霊達も、かつてそんな目に遭った子供の幽霊。
このところの色んな天災や事故で、若おかみのような境遇にある子もけっこういると思う。そんな子達のところにも、このアニメのような可愛い幽霊さん達に来てほしいと思った。
どうしても自分には合わない物語の展開や登場人物たち
いつだったか評判がよかったのを覚えていたので見てみたが
どうにも自分には合わなかった
映像は日常風景から伝統芸能まで見事に再現されて文句なしに美しい
だが肝心のストーリーがどうしてもハマれない
どうやら原作の長いストーリーを再構成して圧縮したようなのだが
これがどうにも説明的かと思えば、冗長だったり急展開が続いたりで、どうにもハマりきれない
脇役が自由人ぶりや、主人公はじめ子どもたちの子どもらしいと言えばそれまでだが狭量の狭さなども気になる。
ようやく終盤に入って、この作品の根底に関わる要素に向き合うところでグッと引き込まれたが
そこからはもう終わりまで一直線で、結局ハマりきれなかった。
ただ展開や登場人物が自分には合わなかっただけなのだが、もう少し丁寧に演出できる尺があればよかったのにと思ってしまう
ビジュアルだけ見てTVアニメの劇場版とかかよ思っていたら全然そんな...
ビジュアルだけ見てTVアニメの劇場版とかかよ思っていたら全然そんなことなくてすごくよかった!
ジブリほど小難しくもなく、深読みとかしなくてもすんなりと受け入れられる内容で、子どもも大人も純粋に楽しめそう。
よくあるおばけ見える系なんだけど
ありがちなストーリーだけどだからこそ安心して見れました。既視感はかなり強く、新鮮味はほとんどありませんでした。
主人公を始め、声優の演技が良かったのだけど、おっこのお父さんだけが極端に下手で違和感がすごかった。糸井重里以来の下手くそでした。調べたらやっくんでした。声優は二度とやらないほうがいいと思う。しかしなんでこんな下手くそがキャスティングされたのかな?
おっこ
2021年8月1日
映画 #若おかみは小学生! (2018年)鑑賞
両親を交通事故で亡くした小学生が祖母が女将の温泉旅館で若女将として修行する
全く期待せずに見たけど意外と面白かった。ようできとうばい!
もっと一般受けするように宣伝して欲しかった
公開当時から評判は良かったのたが、子供やオタク向けの印象があったので一般層には良さが伝わっていなかった。勿体ない。
監督はジブリ作品多数に参加されている方で、全般良い仕事をされているのだが、唯一背景が印象に残らないのが気になった。
大の大人が騒ぐ程でも。
泣かせのベタ素材を延々並べ続けて結果泣かせぬのが少女向け児童文学の塩梅か。
安定画力の秀作だろうけど大の大人が騒ぐ程でも。
そりゃ私も「ケーキ屋ケンちゃん」毎週見てたけど。
お盆ものの快打「ももへの手紙」ってどんなんだっけ。
何度涙した事でしょう
「茄子」の高坂希太郎監督作品。
実はこれが劇場2作目(茄子2はOVAの為)、長編では初監督作品となるんですね。
公開当時はどうにも都合がつかず、悔しい思いをしたのを覚えてます。
だからなのかレンタルなどはせず、じっとアンコール上映を待っていました。
あれから2年が経ち、原画集の発売に合わせレイトショー上映が決定。しかも監督のトーク付きす。
この機会を逃すまいと、この度ようやっと観ることができました。本当よく動くし細部も細やか。
ジブリで作監を任されていただけに作画は素晴らしいですね。
参加した「風立ちぬ」でもやっていたと思うのですが、眼鏡を通した景色の歪みなど拘りが強いです。
作品は一人の子どもの成長を描いた物語。
最初の導入がまずうまい、あそこでギュッと持ってかれますね。
そこからは主人公を見守る親のような視点になってしまい、ずっと目が離せませんでした。
ただただ直向きに生きるおっこ、その愛おしさに何度涙した事でしょうか。
短い尺ながら構成や演出が実に見事、細かい部分の設定や作画も素晴らしく、まさしく傑作と言えるでしょう。
あと「ジンカンバンジージャンプ」、あの歌「人間万事塞翁が馬」をもじったらしいですね。
「長い人生では楽しい事や嬉しい事もあれば、辛い事や悲しい事もあるけれども、何が幸福で何が不幸かは直ぐに決まるものではない」、この作品の根幹に触れるようで主人公おっこに実に合っていると思います。
作品のラストも、とても清々しい気持ちになれました。
アフタートークも監督らしいゆったりとした語りで、会場も実に和んでいましたよ。
監督は今後監督業に専念していくらしく、これからはもっと沢山の作品を目にする事ができそうですね。
出会いと別れと少女の成長を描いた作品、とても素敵でした。
最初は
タイトルがちょっと気になったけど、レビューが高かったから見てみることに。
話がしっかりしてて、どんなにどん底でも前を向いて歩いていれば、みんな助けてくれるって思った作品でした。小学生でも、出来ちゃう!
やろうと思えばなんでも出来る!
ちょっとネガティブな気持ちから脱却できるような勇気を与えてくれました^_^
全169件中、1~20件目を表示