「そんな予告に騙されて」騙し絵の牙 Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
そんな予告に騙されて
予告で面白そうだったので観賞
原作は未読
あなたは騙される!みたいな煽りが目立ち
公開が延期になった影響もあってか
観る機会が多かったです
感想としては
キャストも豪華で見栄えもありましたが
ストーリーのスケールがやや小さく
キャラクターも小粒に終わってしまった感じがします
何よりそんなに誰も騙してはいませんでした
昨今のAmazon(実名で登場)や電子書籍の台頭で
取次(問屋)や書店も苦境に立たされている出版業界
老舗の薫風社は社長の急逝により権力争いが起こり
伝統の小説月刊誌を維持するか見直すか
を含め会社の方針が揺れるところで
社の支配を狙う東松はあちこちで実績をあげる
辣腕編集者速水を引っ張ってきて
社の方針で推す若手を潰され不満が溜まっている
高野らを引き入れ流行誌トリニティの改革を
行っていきます
出版物は文化事業ということで再販制度という
安定的に価格と在庫を保護されてきた歴史もあり
昨今の電子書籍等による競争に全く太刀打ちできず
危機感も感じられない有様を映画では取り上げていました
ただ速水は別に出版業界はどうでもよく
時代に合わせて媒体を問わず変化を求めてなんでも利用すること
高野は家が書店なのもあって出版業界を立て直して
いくことを目指すなどそれぞれ考えが違います
それぞれの考えは間違っていると言い切れるものでは
ありませんが成功する保証もないものです
東松も問屋を配した直接流通みたいのを目指す
ようですがどれもコンテンツとしての魅力が
なければ成功するわけないものなのがポイント
だから映画として観ていてどういった着陸を
見せるのかがわからず実際オチはこんなとこで終わるのか
という感じでした
騙すというよりは利用されているだけで
そもそもタイトルとの関連性もよくわかりません
最近映画のタイトルと内容がかみ合わない作品
多いような・・
別に新聞もテレビも出版も小説も
メディアとしては必要ない事はないと思います
じっくり目を通せる媒体は重宝するはずです
しかし昨今のメディアの後退っぷりの最大の要因は
コンテンツの内容のレベルの問題だと思います
ろくに取材もしない記事やネットやドラレコの
動画を拾ってきただけのニュースばかりで
皆とっくに飽きておりお金を落とそうとは
思わないでしょう
そうした部分にこの映画は少しメスを入れ
提言する部分があるのは良かったですが
どうにも盛り上がりに欠ける展開が続いて
しまったのはあんまり評価が上がらない
部分かなと思ってしまいます
この映画だってメディアのコンテンツなのですから