「水泳やランニングや気合いwで地球人をタイタン人に改造する驚異的な映画」タイタン 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
水泳やランニングや気合いwで地球人をタイタン人に改造する驚異的な映画
環境破壊によって地球は遠からず人間の棲めない惑星になる。そこで太陽系内の衛星としては唯一、豊富な大気を持ち、地球以外で唯一、表面に安定的に液体が存在することが確認されている土星の衛星タイタンに人間を移住させる計画が立てられる。人類移住という大規模なものではなく、少数でもいいから人間の遺伝子を宇宙で生き延びさせようというものだ。
その候補者として全国から身体の頑健な人間が集められ、タイタンの環境でも生存できるようにすべく過酷なトレーニングと肉体改造が行われるのだが…というお話。
マイナス179度の窒素の大気を呼吸し、液体メタンの雨が降る中、メタンとエタンの川や湖を泳げる身体を持つ人間を、何の特殊設備もない地球の上で作るという。いったいどうやって?と思って見ていると、普通のプールで泳いだり潜水時間の長さを競ったり、窒素濃度の高い空気を呼吸しながらランニングしたり、皮膚手術のおかげでどんなに寒い夜でも、裸でも平気でいられる…等々の「肉体改造」なのである。
手術により体調が悪くなると、「気合いで乗り切れ」と言い聞かせるシーンさえ出てくるのには唖然とする。根性でタイタン人になれるのかww
地球の環境で生存できる肉体のままタイタンに行ったらどうなるか、子供だってわかりそうなものだ。改造するとしたら、タイタンと同じ環境の施設を作り、そこで生存できるようにするしかないだろう。
なおかつ少数でも人間が生き残れるようにしたいなら、男女のペアと生殖機能が不可欠だが、そんなことは何一つ考えていないようなのだ。
何とも想像の斜め上の改造計画が進んでいくと、被験体の心身が変化していき、やがて精神に異常をきたす被験体が多数出現、ボロボロ死んでいく。その過程で被験体とその家族の間では、涙ながらのヒューマンドラマが繰り広げられるのだが、そもそも人間を怪物にする計画に、家族持ちの人物を選ぶこと自体ありえない話ではある。
最後に残った主人公は、よくわからないのだが、最後にタイタンらしき場所に行き、あろうことか空を飛んでいるではないかww
これだけ始めから終わりまで開いた口が塞がらない映画、というのも珍しい。