劇場公開日 2019年1月18日

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「ミュージックビデオのような映画」チワワちゃん 美咲さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ミュージックビデオのような映画

2020年10月17日
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もちろん褒め言葉です。最高でした。
さすが岡崎京子原作だけあって、若者の空洞が描かれているのですが、演出の小気味良いテンポが脚本とマッチしていました。

あの頃。まるで音楽に合わせて踊るようだった時間。楽しかったのはちょうどその一曲くらいの長さ。一曲が終われば次の一曲を。

チワワちゃんを通して可視化されていく人と人との距離。カツオが言っていた、男とは価値観が共有できて、女とは距離感を共有できるということ。友達との距離、社会との距離、世界との距離。チワワちゃんが言っていた、男の子といるのは楽だけど消耗するということ。消耗していく人間関係。
人によって異なるチワワちゃんの人間像。全部がチワワちゃんであって、ぜんぶがチワワちゃんでない。それはチワワちゃんだけじゃない、私たちもみんなそう。辻褄なんてなかった年頃。

男とか女とか関係なくて一緒くた、でもそれって男とか女とかがあるから存在する一緒くたの状態、反発しあうことが溶け合うことになる。矛盾と共存すること。
小さな花の集合体だったわたしたち、一人ぼっちなのに、一人きりじゃ生きていけなくて、惰性や本能で群れたり離れたり、互いを愛しく感じたり絶望したり。それでもラストシーンで大きな花の花束を海に捧げたのは、わたしたちの願望だったのかも。

ひとつのミュージックビデオみたいだった青春時代。内在するすべてが、外側だけの華やかさとして顕現した、(人によっては)『エモい』と思わせる作品でした。

成田凌のベロチューが最高っ!

美咲