「若者の持つ毒」チワワちゃん m kiさんの映画レビュー(感想・評価)
若者の持つ毒
登場人物たちの軽薄さに憧れた。
一人一人みんなしてペラペラに見える。
自分の歳と大して変わらない彼女たちは別の生き物のように思えた。
出会いはナンパでぇ〜とかノリで泊めた女の子とセックスしまくる毎日〜とか、テキーライッキして走り出しちゃう感じ〜とか。
できない、なれない。でもなんかいいな空っぽでも楽しそうでさ。私はまともだと思っていたけど実は逆なのかもとさえ思わされる。若いってこういうことなんだろうって。
でもあんなにはしゃいで色んなモノを共有して一緒に生きていた友達や恋人も今どこで、あの時からなにをして、なにを見て、なにを感じて生きていたか分からなくなる日が来る。楽しいだけの時は一瞬で終わる。
いずれ馴染みの場所にも集まらなくなり、あのクラブも無くなる。大金に思えた600万もあっという間に無くなった。場所も、時間も、人間関係も
みんな自分の見ていたチワワちゃんの姿しか知らない。
自分の知らないチワワちゃんを知ろうとしても叶わない。
どんな言葉で書こうがまともなフリをしている大人たちから見たらチワワちゃんは空っぽの若者でしかない。
チワワちゃんがバラバラになったことも世間はすぐ忘れる。
テレビで流れるテロやデモも「やばいよね」くらいにしか思えない。
それでも彼女たちにとってはどこかの国で死んでいく何万人のことよりチワワちゃんのことの方が悲しい。そう思えることがある意味正常で擦れてなくて美しい感情とさえ思えた。
大人から見たら毒に見えるかもしれないが若者にとってはコレが生きるってことなんだ。チワワちゃんは生きてたんだ。強引に締めくくるとそんな感じ〜
夏に見たら走り出したくなっていたかもな。
昔あんなに仲の良かった、馬鹿ばっかりやって一生友達〜とか言いあったあの子たちには、やっぱり連絡しないでおこう……