「双子にしか分からないもの」影踏み bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
双子にしか分からないもの
シンガーソングライターの山崎まさよしが、久しぶりのスクリーンでの主役を務めた、横山秀夫原作のクライム・サスペンス。
夜な夜な民家に忍び込み、盗みを働く『ノビ師』とよばれた真壁修一。そんな彼が、なぜこんな盗みを働くようになっちたのか、彼が抱えてきた20年前の出来事へのトラウマにスポットを当てて描いている。
ある夜、県会議員邸に真鍋が盗みに入った際に、そこの妻が自宅への放火現場に居合わせ、制止する。それをきっかけに、真鍋は逮捕されるのだが、拘留中もその女の事が気にかかっていた。それと同時に、20年前の自分の身に降りかかった出来事が覚醒し、その忌まわしいトラウマと対峙していく。
双子には、双子にしか分からない阿吽の呼吸を感じ合えるのと同時に、同じ思考による相互への反発や敵対心も生まれる。そこを、本作品の柱としながら、なかなか面白いシチュエーションで、啓二役の北村匠海が、大切なキーパーソンとなって描かれていく。また、真鍋を心から慕う、健気な女・久子を演じる尾野真千子の役割も、とても大きい。
また、久子への一方的な思いを寄せる文房具屋の久能を演じる滝藤賢一や真鍋の仕事仲間の大室を演じる中尾明慶なども、サスペンス要素を盛り上げる役柄を演じている。その他にも大竹しのぶ、鶴見慎吾、竹原ピストル、中村ゆり、藤森涼子等、演技派の俳優が脇を固めている。
コメントする