「女同士の確執? 否、実は・・・って」告白小説、その結末 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
女同士の確執? 否、実は・・・って
新進の女流作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)。
心を病んで自殺した母親のことを綴った処女作がベストセラーとなり、サイン会を催していた。
長蛇のファンの列に疲れた彼女は、サイン会を途中で打ち切ったが、最後に、エル(彼女)と名乗る若い女性(エヴァ・グリーン)が目の前に現れた。
その場は断っとデルフィーヌだったが、その後に訪れたパーティ会場で再び出くわし、話をするうちに気心が知れていく。
近所に住んでいたことがわかったエルと、デルフィーヌはひょんなことから同居をすることとなり、エルはデルフィーヌを影響を与えていく・・・
といったところから始まる物語は、『ファントム・スレッド』を思わせるような支配と服従、主客逆転の物語のように進んで行きます。
このような女性同士の確執の物語では、ジュディ・デンチとケイト・ブランシェットによる『あるスキャンダルの覚え書き』や、カトリーヌ・フロやデボラ・フランソワによる『譜めくりの女』などが最近ではある。
また、作家(男性だが)とそのファンというならばスティーヴン・キング原作の映画化『ミザリー』とうのもある。
それらの作品と比べると(比べる必要はないのだけれど、思い出してしまうのは仕方がない)、どうもヘンテコリンな感じがする。
というのは、とにかく徐々に偏執的要素を出してくるエルが、実にヘンテコリンなのだ。
演じるエヴァ・グリーンの演技はオーバーアクトで、突然キレてしまうのには脈絡がない(いや、あるにはあるのだが)。
そんな彼女に付き合うデルフィーヌも、いい加減すればいいのに・・・と思ってしまって、途中で飽き飽きしてしまいました。
ま、最後まで観れば、エルを突き放せないその理由もわかる仕掛けになっているのだけれど、それにしては伏線の張り方が下手すぎる。
デルフィーヌ・ド・ヴィガンによる原作小説があるようだけれど、最後のカットで謎解きをして、タイトルを出して留飲を下げる、ということで満足しているだけのようで、脚本がうまくないとしかいえない。
と思ったら、脚本は(苦手な)オリヴィエ・アサイヤス(ポランスキーの名前も並べてあるが、たぶん、メインはアサイヤスでポランスキーは直しのレベルだと思われる)。
もっとスリリングになりそうなのに、意外にズンダラしてメリハリが効いていない。
ちょっと期待外れな一本でした。