「書けない作家の苦悩の果てに」告白小説、その結末 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
書けない作家の苦悩の果てに
なかなかポランスキーらしい奇妙な映画だった
でも、小説家の頭の中というのは、こういうものなのかもしれないなと思った
人気小説家デルフィーヌはスランプで、なかなか新作が書けない
そんな彼女の目の前に熱心なファンだというエルが現れ、彼女と親しくなったデルフィーヌはエルと共同生活を始める
そして、デルフィーヌはエルの波乱万丈な人生を知り、彼女の物語を小説にしようと考える
この話は、映画化もされたスティーヴン・キングの「ミザリー」によく似ている
書けない作家にとって、熱烈なファンからの新作への期待値の高さは相当なプレッシャーであり、それが続くと、やがて精神面が崩壊していく
この映画では、その「作家の恐怖」がある怪物を生み出してしまうという話だった
そもそも、デルフィーヌは自殺した母の実話を書いて人気が出た作家である
実話には人々を説得する力があり、多くの人の心を引き寄せる
そのため、デルフィーヌは「魅力的な実話」を探していたのだ
しかし、波乱万丈な人生を送る人など、身の回りにそういるものでもない
その中で、デルフィーヌは激動の人生を送った人に会いたいという思いが強くなり、その思いがエルと引き合わせる
「ミザリー」と、この映画を観て思うのは、作家にとって理想的なファンとは、自分が書いたものに対して、時には厳しいことも言い、的確なアドバイスをし、ネタを提供してくれる人なんだなと思った
もちろん、そんな都合のいいファンなんて、いるはずもなく
なんとも精神分裂症的な話だったけれど、それこそがポランスキーらしいと思った
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