「アメリカ的青春映画」Love, サイモン 17歳の告白 ジュンさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ的青春映画
初レビュー、備忘録を兼ねて
当事者として思ったことを
サイモンは普通の高校生。幸せな家族と良い友人、充実した高校生活。ただ、ゲイだというでっかい秘密を抱えている。
普通の、というが、高校生にして車で通学。途中で友人たちをピックアップし、コーヒーをテイクアウトし登校。部屋もめっちゃオシャレ。さらっとMacbook使ってるのもカッコいい。住環境も相まって、これが普通って、カッコ良すぎでは…?という気も。
まぁ、そのあたりはアメリカの中間層に詳しくないので置いておくとして、
こういったいかにも“普通”な人として暮らすゲイは多いと思う(ゲイが普通ではない、という意味ではないです)。
ストレートのふりをして、話を合わせて、なるべくバレないように生きる。この辺りは日本もアメリカも共通なんだな、と。
さて、ストーリーは、ネットで話題となった隠れゲイ(!)のBlueとサイモンのやり取りを見たマーティンが、そのことをネタにアビーとの接近を要求、その結果、サイモンはゲイだとアウティングされ、さらに友人との関係にも亀裂が入ってしまう。
この辺は、サイモンを見ていて痛々しく、辛い気持ちになった。
友人がいなくなっても、Blueだけはせめて、という望みも絶たれ、こちらまで悲しい気持ちに・・・
あと、この場面での副校長の「ぼくはきみと同じだと言ったが、あれはそういう意味じゃない」という発言。もしかしたら明確な差別意識があっての発言じゃないのかもしれないが、こういう人が一番嫌いなんだよね。
まぁ、なんでもかんでも認めてくれ、受容してくれというのはどうかと思うから、こういう人がいることは否定しないけど・・・
あと、マーティンがサイモンに謝罪するシーンで、サイモンが自分がゲイであることをいつ、だれに、どうやってカミングアウトするか決める自由があったのに、お前はそれを奪ったんだ、と言って激昂するシーン。これもグッときた。
いや、感動するシーンではないのだけど、そう、そうなんだよ、と強く同意した。モヤッとしていた不満を言葉にしてくれた気がした。
中盤は暗い気持ちだったんだけど、ただ、そんな時だからこそ、ミュージカルの先生(名前忘れた)と、両親の言葉は染みるものがあった。
サイモンは両親に自分はゲイだ、だけど自分は自分、変わらない。怖いのは周りが変わってしまうこと。と話す。
それに両親は、あなたは変わらない、これまで通り妹のまずい料理を美味しいとほめてくれる優しいお兄ちゃんだ、自慢の息子だ、と答える。
この場面は泣けたなぁ・・・。
あと、サイモンが自分がゲイであることを一度も否定しなかったのも地味に良かった。隠したりはするけど、否定はしない。妹にも事実だ、と告げる。これは、けっこうすごいことだと思うんだよね。
両親との話から、リアとも少し関係修復。そしてサイモンは一念奮起、ネットに自身がゲイであること、セクシャルマイノリティだけがカミングアウトするのが不満なこと、そしてBlueが好きなことを投稿。ややあって、友人とも仲直りし、最終的にはBlueと結ばれハッピーエンドとなる。
いや、Blue、結局お前かい!という気もしたが、候補となりうる人物ではかなり見た目が好きだったので、僕もハッピーになった。
しかし、サイモン役のニック・ロビンソン、いいなぁ。
ストーリー的に大ヒットというわけではなかったが、ゲイを扱っていながら、爽やか青春ハッピーエンドなのと、ニック・ロビンソンがイケメンなのとで、家にDVDで置いておきたい一本だった。