「コレジャナイ…」劇場版パタリロ! おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
コレジャナイ…
原作やアニメがおもしろく、「パタリロ」の映画化には期待していましたが、本日やっと地元映画館でも公開となり、さっそく鑑賞してきました。開始早々、見るからに安っぽいCGと合成をふんだんに使い、昭和感を前面に押し出し、平成生まれをなで斬りにするような潔さはあっぱれでした。パタリロ、バンコラン、マライヒといった主要キャラも、ビジュアル的によく寄せていたと思います。
ただ、それらが「パタリロ」の世界観を構築できていたかというと、どうにもそうは思えませんでした。主要キャラのビジュアルは悪くないのに、キャラ設定が違いすぎて、笑いのポイントが自分の感覚とは大きくずれている感じでした。主演の加藤諒くんが体当たりで演じているのは伝わってくるのですが、力が入りすぎてドタバタした印象で、これは青木玄徳さん演じるバンコランも同様でした。その結果、バンコランがクールに吐く毒舌をパタリロがとぼけてかわす、漫才のようなやりとりが魅力なのに、そこが大きく損なわれてしまったのは残念でした。
また、チープなセットを用いて中途半端なミュージカル仕立てにしたこと、脈絡のないシーンをポンポン放り込んでいたこと等も、自分にはマイナスポイントでした。舞台作品の映画化ということで、それを生かした演出なのか、尺や予算の都合なのか知りませんが、全体的にクオリティが低く、残念ながら映画館まで足を運ぶ作品とは思えませんでした。
久しぶりに「パタリロ」の世界観に浸りたいという思いから鑑賞してきましたが、大がかりな学芸会を見せられたようで、コレジャナイ感がぬぐえない作品でした。「翔んで埼玉」がおもしろく、本作も期待していただけに、とても残念でした。