ザ・プレイス 運命の交差点のレビュー・感想・評価
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登場人物の多さに少々苦戦するが面白いぞ
カフェの居座る謎の男は何でも願いを叶えてくれる。その対価といえる行為を果たすことが条件だ。
物語序盤は、謎の男は何者なのか?が焦点になる。
男のもとへ訪れる人々の願いや、男が突きつける条件は、ただのヒューマンドラマの域を脱している。本当に願いは叶うのか?彼らは条件を遂行できるのか?いや、遂行してしまうのか?
物語の「謎」といえる部分が前半にあるところは斬新だ。なぜなら、この作品のメッセージといえる部分はそんなところにはないからだ。
謎の男のことがうっすらと分かってくると同時に、画面の外で依頼者たちの行動や関係が絡み始める。
そして、願いを叶える者、願いの先を目指す者、願いを取り下げる者、願いを変える者、など、彼らの結果、行き着く先がそれぞれ分かれているのも興味深い。
本来あるべき「代償行為の遂行による願いの成就」を果たす人物が少ないのだ。
しかし、人によって差はあるが、願いを叶えられなかったとしてもある程度の満足を得ていそうなところがいい。
自分の願いの重み、その対価の重み、それらを受け止めて、あるいは違う喜びを見つけて、前向きに生きようとする姿。
謎の男は神だ。もしくは神の使い。
彼がしていることは迷える子羊に対する過激なカウンセリング。対価を突きつけることで依頼者本人が悩み考える。
結局は最初から全ての人が自分で答えを出せる問題なのだ。どんなに辛い出来事であっても理を捻じ曲げることは容易ではない。
おしゃれな…
映画だった。ワンシチュエーションで、カフェから一歩も出ないのに謎の男の元に代わる代わる訪れる人々の悩みや願望、それを手に入れるため、男から言われた無理難題を解決するための苦悩、葛藤の話だけが展開され、退屈しない。訪れる人々が途切れた際、謎の男と店員の女性との会話が良いクッションとなっている。初めは訪れる人々の話は個々の話でバラバラだが、次第に複雑に絡み合っていく。謎の男は悪魔なのか、あるいは神なのか。人は己の願望を叶えるために他人に不幸を招いて良いのか。。究極の選択を突き付けられる。ラスト、謎の男は引退したのだろうか。テンポ良く楽しめた。
未来の変え方。生き方の分かれ道。そこに立ち会う男
面白かった。PLACEと言う名のカフェを舞台にした概念劇。かなり好きです。と言うより、自閉的で全く入り込めない事が多い概念モノとしては、面白すぎるくらいに面白かった!
カフェの奥から二番目のテーブルを陣取る男は不思議なノートを持っています。行動の選択肢で変化する運命が書かれてでもあるかの様な。
彼を訪れるものは、彼と契約を結ぶ。誰かを不幸に落とし入れれば自分の望みが叶う。契約の履行は相談者の意思次第だと、男はつき離します。
息子を取り戻したい刑事。痴呆の夫の回復を願う老婦人。神を感じたい尼僧。夫の愛が欲しい若妻。幼い息子の命を救いたい男。理想の伴侶を求める修理工。視力を取り戻したい若者。美人になりたい女とその恋人。
相談者の運命は、次第に互いが引き合う様に近づき、いくつかの対立関係が生まれます。2人の相談者の運命が対立すれば、両者が共に望みを叶える事など出来ない。誰かを不幸にする事を拒否するものも続出。
最終的に、望みを叶えながらも因果応報に見舞われるもの。誰かを傷つける事を拒み、運命を受け入れる選択をするもの。などなど。この辺のやり取り、ストリー展開の緊迫感が好きです。兎に角、役者さんの素晴らしさ!
ラスト。男は、今の役割からの解放を望み、カフェの女給と契約し、その望みは叶えられます。灰皿で、小さな炎を上げるメモ。無人のカフェ。契約履行のためには、誰かを不幸にしなければならなかったのだが、彼へ与えられたミッションは何だったのか。いや、善行を求められるものもいたから…カフェから消えた2人は何処に消えた?
で、FINE.
欲を言うと、劇中の音楽のセンスだけが…
いや、なんか音楽だけがガッカリでした。
怪物に餌をやる
カフェの中、しかも同じテーブルでの会話劇のみで成立させるワンシチュエーションサスペンス作品である。しかし話の展開が想像以上に多く、幾つものストーリーが同時進行で展開される。その中には交わるものもあれば、単独で成立するものもあったりして、非常に複雑な構造になっている。何が繋がって、何が単独なのかその謎解きも提供されているのだろう。しかしながら余りにも数が多すぎで、把握が難しい。幾つもの話を記憶しておかなければどこで繋がっているのかを結びつけ難い。頭脳明晰ならば覚えている事が可能だろうが、脳のシワが少ない自分では、今作の面白さの50%も得られていないだろうか。
まるでそのカフェの住人と化しているような主人公が、一歩も外に出ずひたすら思惑とノートへの書き込みを行なっている。そしてひっきりなしに依頼人がそのテーブルを訪れ、契約遂行中の過程、状況、そしてこれが大事なのだが、その際の気持、言い訳をいろいろなトーンで吐露していくのを利きながら、時には叱咤激励を受ける。その理由は、とんでもなくやっかいな願いを叶えて欲しいということなのである。作品では語られていないが、多分沢山のその無理難題を過去に叶えてきた評判で依頼者が集まっているのだろう。契約だから金銭のやり取りがあると思うのだがその部分は押し出していない。例えば連れ添った夫のアルツハイマーを治して欲しいとの願いに、時限爆弾で不特定多数を殺せばその願いが叶うと言った具合に。人間の欲望を叶えるために非道な条件を出す悪魔の契約の如く、男は躊躇なく提示する。そしてその“風が吹けば桶屋が儲かる”的な直接に結びつかない因果関係に戸惑い、さらには憤怒の表情を隠さない依頼者はしかし自分の願いを叶えたいが一心で、状況報告をしにカフェへと足を運ぶのだ。
その行動は誠におぞましくそして滑稽すら感じる。一方は神の存在を再度実感したい女に妊娠することを条件につきつけ、もう片方には目が見えるようになりたい男に女に乱暴することを条件にする。確かにこれはそれ程非論理ではなく、出産による苦しみと喜びは正に神の存在であり、男に取ってみれば自分の伴侶が出来れば正にそれが目の代わりとなってくれる。とはいえ、結局は二人は結ばれない。なかなか思い通りにならない事を示唆するモノであり、それぞれの達成感はその人が決めるものである。
さて、果たしてこのカフェでの絶望と希望を告げる男は神なのか悪魔なのか。そして膨大に書き込まれたあのノートは地獄の閻魔帳なのか。自分なりの解釈とすれば、実はあの男も又、別の誰かにあの役を遂行するよう条件つけられていたのではないだろうか。願いは二度と裏切らない人生の伴侶を得たいという願いを叶える条件として。そう考えれば、ラストは大変スマートでカタルシスが得られるのだが、如何だろうか。
物事は考えよう
撮影場所がカフェとカフェの前の道路だけ。
カフェに次々と相談しに人がやってくる。
誰も鉢合わせしないのが不思議。
人が次々と話していることを想像出来ないと
この映画は面白いとは言えない気がする。
観ている側も試されているのかな?
僕は、好きなほう
皆さんのレビュー見て、これは神に近い特殊な力が働いている。という言葉を全然見かけなかったのが意外だな~と思ったのでレビューしてみました。
僕は彼の後ろには、神か悪魔かはわかりませんが、確実にそういう存在がいると思いました。
その存在が彼に与えた能力は「事実の繋がりを発見できる」というもので、
人々が課題をこなした、こなさなかった、ことで起こった事実を事細かに書き込み、ノートにその事実の「要素」を増やすことで、その「要素」から運命の変えるための繋がりを探し、そして繋げて、別の運命に変えていく仕事をしているのではないかとおもいました。
自分でも文章がまとまらず、すいません・・
対価
THE PLACEというカフェのテーブルにいつも居て人の望みに対し助言をする男の話。
彼のもとを訪れた人々が出来事や経過を報告し、それに対して助言する形で展開して行くが、報告される内容に対する映像は一つも無く、報告者と男の会話劇というつくり。
ただ助言したことが都合良く繋がっただけでは説明がつかない、予言、予告があったり、その割に報告に驚いたり、後付けしたり言ってることが変わったり。
喪黒でもないし占い師でもないし、結局のところ彼は何者なのか良くわからないし虎穴に入らずんば的なことが言いたかっただけなのか…レベルが高過ぎた。
完全に策に溺れた作品
「おとなの事情」はあんなに面白かったのに・・・である。
「おとなの事情」で、ホームパーティーに招かれた夫婦たちの内情と過去と本音を、パーティーの席というワン・シチュエーションで切り取った巧みな会話劇を十分に楽しませてもらい、今回もかなり楽しみな作品だった。パオロ・ジェノベーゼ監督がもともと会話劇を得意とする人物なのか、あるいは「おとなの事情」の成功から会話劇を続投することにしたかは詳しくないが、今回の「ザ・プレイス」も、カフェの一角に座る謎の男と、彼のもとを訪ねてくる者たちとの会話だけで物語を成立させていこうという仕組み。その挑戦と試みは面白いと思うものの、ただこの作品に関して言えば、完全に「策に溺れた」感が否めない。
とりあえず、次々に表れる登場人物の背景と交わした取り決めを頭の中で整理するだけでもまず一苦労。まさかノートにメモを取りながら観るわけにもいきませんしねぇ。
また訪れた人間が謎の男に自分のことを話す、という設定上、どうしても台詞が説明調に陥りがちで、シーンとしても単調になりがち。奇しくも、ワンシチュエーションの会話劇という点で共通項のある「ギルティ」を同じ日に観たのだけれど、正直なところ雲泥の差。片や「会話だけでここまでサスペンスフルになるのか!」という驚きと、片や「会話だけだとここまで単調になるのか・・・」という驚きの両極端でした。
そして自らの欲望のために、殺人・強盗・テロと言った課題をこなさなければならない、というところのサスペンスと痛烈な風刺が、最後まで効いてこなかったのが大きかったのではないかと思う。そうまでして叶えたい願いか?自分の欲望のために他人の命を奪えるのか?そういった問いかけにまで映画が到達しないまま、それぞれ勝手に自己完結して終わったような印象だった。
いやはや今回は、完全に策に溺れてしまったと思います。
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