「「正義の味方」」PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「正義の味方」
テレビ回も含めて、今作が一番の質の劣る作品かと思う。息の長いシリーズなのでそれなりのハードルは上がってしまうのは仕方が無く、どうしても期待のインフレ値が高騰しまいがちになるところを、それでも制作陣の不断の努力が真価を上げているのだが、今作は色々な政治的問題や、人材不足による、根本の制作能力の劣化が絡んでいるのだろうかと、勝手に邪推をしてしまう程である。
まずは1時間という尺の短さ故、作品のプロットやテーマの仰々しさとのミスマッチを思わざるを得ない。ドストエフスキーの名著を持ってきたとしても、そことストーリーの関連性が薄い。時代設定を今の約100年後という体なので、青森六ヶ所村の最終処分場問題をテーマとして、その労務を犯罪計数の高い人間にさせるという非人道的方法を主人公達が曝くプロットは、1時間では充分伝えられないのではなかろうか。だから場面転換や進行に無理が生じ、ご都合主義が随所に散見されてしまう。この作品を初めて観た観客には勿論不親切だから、細かい説明もない。多分、ファンだけに特化したターゲット作りをしているので、まぁ、それも思い切った事ではあるが、そのファンもどれだけ今作を評価しているのか、疑問が残る。
集団思考等の突飛なキーワードや、急な展開、伏線の少なさといった、本来のシリーズならばもっと緻密だった作りが殆ど蔑ろにされてしまっている点も目立ってしまった。
それにも増して、元監視官、現執行官の宜野座の殆どロボットじゃないかとコミカルとも思えるタフネス振りに失笑を禁じ得ない。
もう少しキャラ設定がセンシティヴだった筈じゃなかったのではないだろうか。
これから続く、Case.2 3とこんな感じで進むのだろうか?折角3つの分けたのだから繋がるような展開が良かったのではと思ったのは自分だけだろうか・・・