劇場公開日 2019年1月18日

「実写化の理想形+α」映画刀剣乱舞 志野さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実写化の理想形+α

2019年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

最初ニュースを見たときはああ、また人気作品にあやかった実写化のいつものパターンかとそんなに期待してませんでした。
なので映画館に行くかどうかも他の人の評価を見てから、と思ってたんですね。
そうしたら、見に行った友人たちが皆、面白かったすごく良かった、また行きたいというではありませんか。
慌ててネタバレにうっかり触れる前にと見に行きました。

確かにとても面白かったです。ネタバレは見ずに行くべきです。話の展開自体は目新しいものではありませんが、なんといっても伏線がこの作品ゆえに成り立つものであり、一気に回収されていく様に感心しました。

ミュージカルは見てましたが舞台は私は見たことなかったんですが、刀剣男士側の役者さんは舞台刀剣乱舞でも同じ役やってる人や特撮出身の人ということで、演技し慣れてるんでしょうね、ゲームのキャラと違う!ってことはありませんでしたし、三日月役の方の表情にハッとするようなこともありました。
秀吉役、信長役はさすが実力派俳優さん、迫力満点でした。殺陣や戦のシーンもすごかった。

実写化映画の失敗パターンを回避してるので、その点も高く評価したい。
・ストーリー、キャラ改変をしない
漫画等の実写映画で一番うんざりするパターンがこれ。原作の世界観、設定、人物、物語が面白いから人気がでているというのに、ここを改変したがる実写化のなんと多いこと。一体どの客層に見てもらいたいのか分からないってやつ。
刀剣乱舞は大元のゲームにメインストーリーがなく大まかな設定しかないので、どう作るも自由ですが、その分、キャラクターの比重が大きく、ファンが見たいものと違う方向に行く危険性も高かった。
例えば普通の監督、脚本だと「恋愛要素」を入れたがるんじゃないでしょうか。でももし入れてたらこの映画、1週間打ち切りコースだったでしょうね。

・オリジナルキャラが出張らない
準主役張ってたり、既存キャラより目立ってたり、なぜか原作人気キャラは出さずにオリジナルキャラがその立ち位置にいたり、なんてのも実写化映画ではよく起こる気がしますが、だったら原作付きじゃなくていいだろう、って思うこともしばしば。この映画ではそんなことはありませんでした。ちゃんと既存刀剣男士が中心です。

・有名アイドルや人気タレントに頼らない
キャラじゃなくて役者ありきでキャスティングした結果、うわ似合わない、なんてのもままあること。舞台版と同じ会社が制作しているっていうのもありますが、舞台と同じ役者を使ったのはいい方向に働いたと思います。

2.5次元(舞台とミュージカル)がすでに成功していて、求める方向性は見えていただろうことと、役者の演じるキャラにある程度慣れてる人も多い作品であったということも成功の理由としてあると思いますが、これらを回避して、ファンが求める方向に真正面から取り組んだ映画だから、そりゃ友人みんなも面白いっていうわけです。

ただ、良くも悪くも特撮色が強い映画です。敵の造形が怪物ですし、刀剣男士も色んな髪色や衣装をしています。
演出や物語展開も特撮らしい?(戦隊ものとか見ないのではっきり言えませんが)ところが随所にあるので、ぱっと見で気になった人、コスプレっぽいと感じた人にはお勧めしません。

そうでなければ、刀剣乱舞をよく知らない人でも見て損はない映画ですよ。

志野