「現在の日本の風刺画的作品」空母いぶき 虹孔雀さんの映画レビュー(感想・評価)
現在の日本の風刺画的作品
現在の日本をある意味、リアルに表現していると思う。
原作ファンからの酷評ぶりを見れば、どうやら原作内容との乖離があるらしいが、本作品はその点を除いて、評価できる点がいくつかある。
1.戦争、防衛という用語を避けがちな風潮が強い中、近未来の起こりうる問題として捉えている。
→今のマスコミではコメントできないだろうというラインに踏み込んで、予言的表現をしている。
2.今の日本なら、これぐらいの対応ができれば上出来すぎるだろうという、最低限の取るべき対処を描いている。
→今の日本に合わせるなら、有事の場合、本作で表現される戦いが(最低限の)理想と思われるラインを描いている。
3.現在の日本国憲法の矛盾、平和ボケ具合を的確に表現している。
→「自衛のための最低限の『戦闘』という表現」は、観ている側からすると、もどかしく腹立たしい、潔さがないシーンとして現れてくるが、現憲法の矛盾点をうまく表現していると思う。コンビニの店長は「平和ボケ」の象徴として、上手に描かれている。有事の際にのんきに居眠りしている姿は、今の我々を表しているだろう。
以上、3点が本作品の良い点である。
ただ、結論部分のシーン(戦闘が終わるシーンです)は、はっきり言って甘いし、日本がアメリカ、ロシア、EU圏、台湾、インドなどとしっかりとした同盟関係を結び、中国包囲網を作る努力をして、真剣に生き残りをかけた戦いをしない限り、理想論でしかない。
本作品が、日本人の意識を少しでも変えるようなきっかけとなってほしいし、ただ原作と違うからダメとか、エンタメとしての視点のみで評価を捉えるべきではないと思う。
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