「出来そこなったシン・ゴジラ」空母いぶき P CATさんの映画レビュー(感想・評価)
出来そこなったシン・ゴジラ
「シン・ゴジラがヒットしたぞ!これにヒューマンドラマを付け加えたらもっと売れるはずだ!」的な発想で作られた(かもしれない)映画
結果、出てきたのは出来損ないのシン・ゴジラ。ちゃんちゃん。
〇ストーリー
不法占拠された初島を奪還するために航空機搭載護衛艦(空母ではない)いぶきを中心とした機動隊が派遣される所から物語が始まり、「専守防衛」という枠組みの中でいかに戦うべきかの葛藤を交えつつ敵国と交戦し、最後は国連の仲裁でハッピーエンド。
うーん、正直見所なし!
テンポが悪い上に見せ場が全然なくて退屈。ミリタリー描写も、日常との対比も、官邸の奔走も、何もかも中途半端。戦場と日常の対比のために挿入されるコンビニのシーンは、入れ方が雑すぎて冗長。首脳のアレコレは明らかにシン・ゴジラを意識しているのだろうが、どうにも劣化コピー感が否めない。
ミリタリーの描写は酷いもので、ミリオタ発狂もやむなし。個人的には「アツい!」と思える展開ならリアリティがなくても構わないと思っているが、アツくもなければ面白くもない描写のうえリアリティまで失われているので、「は、はぁ」以上の感想が出てこない。
「専守防衛」という枠組みの中でいかに戦闘行為を行うか、という構想は良いものですが、とにかく雑すぎ。投げっぱなしで回収しない伏線も多く、登場人物のキャラ付けも適当。取ってつけたようなヒューマンドラマをちょろっと挿入して大団円!って、またまた御冗談を……
結局最後の停戦だって、国連というより大きな軍事力を前にして両者が引き下がっただけで、平和的解決では全然ないと思うんですけど。
(そうえいば、最後のシーン。現実を皮肉るのは映画の醍醐味だけど、これまた入れ方が稚拙でしらける)
〇配役・CG
演技は頑張っている。
棒読みの役者も居らず、全体に熱く演じていて好印象。ただそれを支えるCGはちょっと頼りない感が否めない。気になるほどではないんだけれど、魅力的かと言われると……
〇総評
航空機搭載護衛艦「いぶき」とテロップを出した直後に堂々のタイトル表示「空母いぶき」
いやどっちやねーん!
正直、魅力が何もなかった。ストーリーも演出もダメダメ。戦闘シーンは-99999999999点。救いは護衛艦と艦載機が恰好いいぐらいか。
あと自衛隊協力でないにしても、参考文献に小学館の「特撮でみる 自衛隊の最新装備(うろ覚え)」みたいな本が載っていたのはさすがに笑った。