「静けさの中に、名女優ランプリングのミステリアスな目線が突き刺さる」ともしび ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
静けさの中に、名女優ランプリングのミステリアスな目線が突き刺さる
この映画はなかなか手強い。ミステリアスな映画というべきか。ひねくれた映画ではないのだけれど、全く手の内を見せてくれないので、観客はこれがどのようなジャンルに位置付けられるものなのか判断がつきにくい。それはひとえにこの女優、シャーロット・ランプリングの佇まいが成せるものでもある。彼女がただ物憂げに佇んでいるだけで、その内面に様々な心象模様が渦を巻いているのがひしひしと伝わってくる。それだけでなくこの名女優は、よりによって市民講座の演劇クラスに参加する中年女性を演じているのである。
本作には説明的な箇所が一つもない。全ては状況や表情から察するしかない。そうやって察しているうちに、我々はいつしか彼女が何を考え、どのような末路を歩もうとしているのか、何かしらの決意、そして近い未来すら察してしまった気がしてドキリとさせられる。つくづく静けさの中に、恐ろしいほどの得体の知れなさを秘めた映画である。
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