「70年前に交わした再会の約束を果たすための旅」家(うち)へ帰ろう まっくん a.k.a. エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
70年前に交わした再会の約束を果たすための旅
娘たちに家を処分され老人ホームに入れられようとするユダヤ人の老人が人生最後の旅に出る。
アルゼンチン(ブエノスアイレス)〜イタリア(マドリード)〜フランス(パリ)〜【ドイツ横断】〜ポーランド(ワルシャワ)。そこは生まれた土地であり、1945年の終戦のとき、ホロコーストから逃れ九死に一生を得た土地であった。まさに帰郷である。
まるで人生の縮図のような旅。悪いことがあり、いいことがある。人々(特に女性たち!)の優しさに触れ、頑固オヤジが何だか丸くなっていく感じがした。このオヤジがだんだん好きになってきた。
ゴールが近づくにつれ、死に直面した際のトラウマが鮮明に蘇る。その余りにも強いトラウマが故、これまでドイツやポーランドに近づけなかったのだろうか。
70年の思いが堰を切ったように流れ出すラストは実に感動的だ。このオヤジが大好きになった。
重い歴史を背景にしながらも、温かなバイブレーションがみなぎる秀作。いい気分で帰路に着いた。
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