「老害かリーダーシップか」チャーチル ノルマンディーの決断 aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
老害かリーダーシップか
第二次大戦の英国を救った英雄チャーチルの、史上最大の作戦実行前、1週間を中心に綴った物語。アカデミー賞のゲイリー・オールドマンが演じたチャーチルは、この4年前の話で、ノーラン監督の「ダンケルク」は、ヒトラーがフランスに侵攻し、ドーバー海峡を渡って欧州大陸撤退する作戦を描いたものだ。
最近、ジョン・ウェインやヘンリー・フォンダの「史上最大の作戦」(1962)を、みなおしたが、このドラマは今見ても色褪せない。
さて、この映画のチャーチル卿はといえば、老害に近い。土壇場で軍の作戦に反対し、混乱を引き起こす。誰彼構わず当たり散らし、陰口を叩かれる。国のリーダーらしからぬ横暴さだ。
しかし、彼も人の子、4年に渡る戦争に耐え、心身をすり減らして来たことを思えば、仕方がないことかもしれない。そんな彼を諌めるのは妻なのだが、彼女の言葉も届かなくなって来ている。
そんなチャーチルの苛立ちをよそに、連合軍の「史上最大の作戦」の準備は着々と進み、アイゼンハワーを中心に反攻作戦の幕が切って落とされようとしている。疎外感を抱いた彼は、事もあろうに、最前線の上陸作戦に加わろうとし始める。
葉巻をふかしながら、杖をついてわめき散らす姿が、当時の本人のイメージにぴったりだ。
実生活で、仕事で役職定年も見えて来ている年齢なので、若手に任せることが増えて来ているので、なんだか身につまされる。老害にはならないようにしたいものだ。
コメントする